西洋医学・漢方/東洋医学・栄養療法でみなさまの健康に貢献
薩摩川内市の耳鼻科
せんだい耳鼻咽喉科
鹿児島県薩摩川内市高城町1945番地1
おれんじ鉄道上川内駅から20分
| 診療案内 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前 8:30〜12:30 | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × |
| 午後 3:00〜5:30 | ○ | ○ | ○ | × | ○ | △ | × |
診療時間補足 | ※ 手術日のため外来休診 |
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休診日 | 日・祝日・木曜 |
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木曜 | 月に1回、専門業者にて清掃およびワックス がけを行っております |
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診療日の変更のお知らせ | R5年9月より休診日を変更しました 日曜・祝祭日・木曜日:休診 第4土曜日の休診を診療日に変更しました |
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本日は、当院の31回目の開院記念日です。
おかげさまで、この地で31年を過ごすことが出来ました。その間、少しは皆様方の
お役に立てたかなと思いを巡らすこの頃です。
これからも、なるべく対症療法ではなく、根本的な指導や治療を目指して参りたいと考えております。今後とも皆様方のご指導やご意見をいただけますように宜しくお願いいたします。
当院の治療の基本は、先ず栄養療法です。「ヒトは食べたもので出来ている」というのが根本原理です。食を考え、体を損なう物をなるべく口や鼻や皮膚から取り込まないようにしていくことが、起こりうる生活習慣病を防止してくれます。
2番目の基本は東洋医学的な考えによる治療や予防です。
ヒトの体質は、それぞれですが、元々が虚弱なのか?体力があるのか?暑がりか?寒がりか?症状の主体が、皮膚や鼻粘膜などの表面に出やすいのか?胃腸などの裏に出やすいのか?いつもの元気があるのか無いのか(陽証か陰証か)等々の状況(これを「証」と言います)によって起こる病気が違ってきます。
例えば、熱証で実証の人は、高血圧や心臓病などにかかりやすいですし、実証でやや寒証の人は、パーキンソン病や癌になりやすい。また虚証で寒証の人は花粉症や喘息、自己免疫疾患、うつ病などの有病率が高くなります。
そのような東洋医学的な証を考慮しつつ、対処法を一緒に考えて行くような診療を心がけています。そのためには、かなり細かい日常生活の聞き取りが必要になります。
そして、3番目が、化学薬品による対症療法です。
保険診療で使われる薬剤は、そのほとんどが、石油化学薬品や遺伝子組み換え薬品や、免疫学的調節薬剤です。重症なひとには、ありとあらゆる高額な医薬品が用意されるようになりました。しかしながら、やはり、これらを使ったとしても病気の原因をなくすことは出来ません。やむを得ずに使うという考えが大事ではないでしょうか?
USAでは、すでに食品添加物の撲滅や、ワクチンの使用禁止に動き始めています。
WHOからも脱退しました。逆に我が国は、WHOの本部を誘致しようという動きも有り、
我が国を一大ワクチン製造国にして行こうという恐ろしい計画まであるやに聞きます。
先日、鹿児島市の甲突川沿いの公園で、「健康な食のお祭り(生命いのちの祭り)」がありました。参加していた友人のブースに立ち寄ると、昨年に比較して、ブースの数が倍ぐらいに増えて、訪れるお客もまた倍以上だとおっしゃっていました。
人々の関心が健康な食品に向き始めている祥子ではないでしょうか?やはり国民的なムーブメントがとても大事だなと痛感しました。
昨日の12/1、これまでのすべての保険証の有効期限を迎えました。本日からは、
マイナンバーカードに保険証機能を付与した物が基本的に保険診療を受けられる証になります。マイナンバーカードと保険証を連携しておられない方の場合には、ご自宅に届いている、「資格確認証」をご呈示いただく事になります。なお、暫定措置として期限の切れた保険証でも2026年3月までは利用可能です。
厚労省によると、県内の医療機関や薬局でのマイナンバーカード保険証の利用率は、
2025年10月時点で、44.6%にとどまっていると言うことです。
何かと不具合の報道されているマイナンバーカード保険証ですが、利便性も兼ね備えている点もあります。これまでの公的健康診断の検査結果が反映されることや、複数の医療機関で重なった薬が出ていないかの確認に一部役に立つことなどです。
しかしながら未だに、氏名に使われている旧漢字が提示されずに本人確認が困難な場合がおこりうることや、検査結果が反映されるまでに一ヶ月程度かかるなど、改善の必要性は、導入当初から言われていました、5年経っても未だにそのままです。デメリットを全て消していく努力を行っていかないと大幅な普及の妨げとなるでしょう。
また、気を付けたいのが、マイナンバーカード本体の有効期限です。5ン3ン目の誕生日が期限ですので、ご注意ください。
オリーブオイルの発がん性については、文献を検索する限り、現在の科学的知見では通常の食生活で摂取する範囲において、発がん性があるとは考えられていません。むしろ、エクストラバージンオリーブオイルなど高品質なオリーブオイルには、抗酸化作用のあるポリフェノールやビタミンEが豊富に含まれており、これらが体内の酸化ストレスを軽減し、発がんリスクの低減に寄与する可能性が指摘されています。
一方で、オリーブオイルを高温で長時間加熱した場合には、油が酸化しやすくなり、有害物質が生成されることがあります。こうした酸化した油を大量に摂取することは健康に良くないとされていますが、適切な温度管理や保存方法を守れば、リスクは低く抑えられます。したがって、日常的な調理や生食での使用においては、オリーブオイルの発がん性を過度に心配する必要はありません。
オリーブオイル自体には、もともと発がん因子(発がん性物質)は含まれていません。特にエクストラバージンオリーブオイルは、化学的な処理を行わずに低温で搾油されるため、有害な成分が生成されるリスクは非常に低いとされています。むしろ、抗酸化作用を持つポリフェノールやビタミンEなど、健康維持に役立つ成分が豊富に含まれています。
ただし、オリーブオイルを高温で加熱しすぎたり、長期間保存して酸化が進んだ場合には、トランス脂肪酸やアクリルアミドなどの有害物質が微量ながら発生する可能性があります。これらは酸化した油に含まれることがあり、過剰に摂取すると健康リスクが高まると考えられています。しかし、通常の調理や生食の範囲であれば、オリーブオイルに発がん因子が含まれる心配はほとんどありません。
このように従来報告されている研究では、ラットなどを使った実験では、依然ご紹介したように、発がん性を示すデータがありますが、大方の報告では、直接人間には当てはまらないというものが多いようです。
いずれにしても大量にかけたり、熱を加えすぎたりは控えたほうがよさそうですね。
オリーブオイルにはいくつかのランクが存在し、品質や製法によって分類されています。 一般的に「エクストラバージンオリーブオイル」は最高級品とされ、酸度が0.8%以下で、化学的処理を受けていないものです。次に「バージンオリーブオイル」があり、こちらも化学処理なしですが、酸度は2%以下です。
さらに「ピュアオリーブオイル」や「オリーブオイル(精製オイル)」は、精製工程を経ており、エクストラバージンに比べて風味や栄養価が低くなります。日本で流通しているオリーブオイルの多くは、こうした下位ランクのオイルが含まれていることも少なくありません。
エクストラバージンオリーブオイルの製造工程は、まず新鮮なオリーブの実を収穫することから始まります。収穫後、オリーブの実はすぐに洗浄され、異物や傷んだ部分を取り除きます。次に、実を粉砕し、ペースト状にした後、遠心分離機や圧搾機を使って油分を抽出します。この工程では化学的な処理は一切行われず、低温(コールドプレス)で丁寧に搾油されることが特徴です。
抽出されたオイルは、ろ過によって不純物を取り除き、酸度が0.8%以下であることが確認されたものだけが「エクストラバージンオリーブオイル」として認定されます。これにより、果実本来の香りや風味を最大限に残した高品質なオイルが生み出されます。
日本で売られているエクストラバージンオリーブオイルは、必ずしもすべてが本物とは限りません。実際、日本国内で流通している多くのオリーブオイルには、下位ランクのオイルが混ざっている場合も少なくありません。エクストラバージンと表示されていても、品質や製法の基準が緩い商品も存在するため、消費者が厳密な基準を確認することが重要です。また、信頼できるメーカーや認証マークの有無なども選ぶ際の参考になります。
日本にはオリーブオイルの品質に関する明確な法的規制は存在しません。主に輸入品が流通しているため、国際的な規格(例えば、IOC=国際オリーブ協会の基準)や各メーカーが独自に品質管理を行っていますが、国内で統一された厳格な認証制度はありません。
そのため、エクストラバージンオリーブオイルと表示されていても、必ずしも国際基準を満たしているとは限らない商品もあり、消費者は選ぶ際に注意が必要です。信頼できる認証マークや第三者機関による品質証明を確認することが、品質を見極める一つの方法となります。
オリーブオイルを選ぶ際に信頼できる認証マークとしては、国際オリーブ協会(IOC)の認証や、EUの「PDO(原産地名称保護)」や「PGI(地理的表示保護)」マークが挙げられます。これらは産地や品質基準を厳格に管理しているため、ラベルに記載されている場合は高い信頼性が期待できます。
また、イタリアの「DOP」やスペインの「Denominación de Origen Protegida(DOP)」など、各国独自の認証制度も存在し、これらも品質の目安になります。購入時は、こうした認証マークや第三者機関による品質証明があるかを確認すると安心です。
少量にしたほうが良いオリーブオイル
オリーブオイルはコレステロールを低下させる作用があることになっていますが、
コレステロールを下げる効果も一過性のものです。そもそもコレステロールが悪者ではなく、コレステロール値が高いほうが長生きなのです。
オリーブオイルは、動物実験で、用量依存的に発がん促進作用を示します。総摂取エネルギーの6%程度を植物油脂でとった場合に、オリーブオイルの場合にはダントツで発がん作用が強いことが分かっています。現代の日本人は、昔に比べ、とてもたくさんの植物油脂を摂りますが、若い人ではその傾向が高いようです。
カナダの研究チームは、オリーブオイルの脳出血促進作用を見つけました。脳卒中ラットの寿命を短縮するようです。このような研究結果は、一般の人にはほとんど知られていません。やはり、これは、オリーブオイルが健康に良いとするイメージ戦略が大手メディアを席巻しているからにほかなりません。
オリーブオイルの流通には国際的なグループの力が強大に働いているのです。
少量にしたほうが良いオリーブオイル
オリーブオイルはコレステロールを低下させる作用があることになっていますが、
コレステロールを下げる効果も一過性のものです。そもそもコレステロールが悪者ではなく、コレステロール値が高いほうが長生きなのです。
オリーブオイルは、動物実験で、用量依存的に発がん促進作用を示します。総摂取エネルギーの6%程度を植物油脂でとった場合に、オリーブオイルの場合にはダントツで発がん作用が強いことが分かっています。現代の日本人は、昔に比べ、とてもたくさんの植物油脂を摂りますが、若い人ではその傾向が高いようです。
カナダの研究チームは、オリーブオイルの脳出血促進作用を見つけました。脳卒中ラットの寿命を短縮するようです。このような研究結果は、一般の人にはほとんど知られていません。やはり、これは、オリーブオイルが健康に良いとするイメージ戦略が大手メディアを席巻しているからにほかなりません。
オリーブオイルの流通には国際的なグループの力が強大に働いているのです。
植物油脂の抽出方法について少し触れておきます。一般的に、植物から油脂を取り出す方法には「圧搾法」と「溶剤抽出法」があります。圧搾法は、原料となる種子や果実を物理的に圧力をかけて油を搾り出す方法で、昔ながらの製法です。一方、溶剤抽出法は、ヘキサンなどの溶剤を使って効率よく油脂を抽出し、その後溶剤を取り除くことで純度の高い油を得る現代的な方法です。
どちらの方法も、原料の鮮度や加工過程によって油の品質に違いが出ます。特に圧搾法で得られる油は、風味や栄養成分が残りやすいという特徴があります。健康的な食生活を考える上でも、抽出方法を意識することは大切です。
ヘキサンというのは、石油の仲間です。圧搾法は手間と時間がかかりますし、ゆっくりゆっくりやらないと、熱が加わってしまい、その時点で酸化が起こってしまいます。かといって、石油で抽出した油は避けたいですね。
特に、亜麻仁油やえごま油などのようなα‐リノレン酸はオメガ3系の油ですが、これらは、極端に熱に弱く、簡単に酸化されてしまいます。
また、オリーブオイルは、オメガ9系の油が主体です。
このオリーブ油については、賛否両論ありますので、検討してみましょう。一般的には、オリーブオイルは、大変多く使用されていますし、医師や栄養士でも勧める方もおられます。
ちょっと待ってください。「そのオリーブオイルは本物ですか?」実はこのタイトルは、本の名前です。以前、院内新聞でも取り上げましたが、日本で出回っているオリーブオイルは、ほぼ8割がたが偽物だというのが著者の主張です。
次回からしばらくこの問題について独り言ちてみたいと思います
風邪の患者さんが増加中です。
風邪を引きやすい人の特徴としては、まず免疫力が低下していることが挙げられます。高齢者や乳幼児、慢性的な疾患を抱えている方は特に注意が必要です。また、睡眠不足や栄養バランスの偏り、ストレスが多い生活を送っている場合も体の防御機能が弱まり、ウイルスに感染しやすくなります。
さらに、手洗いやうがいなどの基本的な感染対策を怠りがちな人や、人混みや密閉空間に長時間いる機会が多い人も、風邪を引くリスクが高まります。季節の変わり目や寒暖差の激しい時期には特に注意し、体調管理を心がけることが大切です。
免疫力が低下しているというのは、体がウイルスや細菌などの外敵から身を守る力が弱まっている状態を指します。免疫システムが十分に働かなくなると、感染症にかかりやすくなったり、回復が遅くなったりします。また、ストレスや睡眠不足、栄養の偏り、加齢、慢性疾患などが免疫力低下の原因となります。
免疫力低下に至る主な原因としては、まず睡眠不足や栄養バランスの乱れが挙げられます。これに加えて、慢性的なストレスや過労、加齢による身体機能の低下も大きな要因です。さらに、基礎疾患(糖尿病や心疾患など)を抱えている場合や、運動不足、喫煙・過度な飲酒などの生活習慣も免疫力を低下させる原因となります。
と、ここまでは、AIに問いただした答えです。
実際には、具体的にはどうかといえば、やはり、一番大事なのは、食事だと思います。
我々は、食べたものでできているという言葉があります。吸った空気と飲んだ水と食べたものがからだを作ります。
たとえ、病弱で生まれても、食が正しければ、生涯丈夫に過ごすことができます。江戸時代の貝原益軒はそのことをすでに説いております。先年亡くなった日野原重明先生は、子供のころはとても病弱だったそうですが、100歳を過ぎてもなお診療をされていたのは有名です。
人は、食べたいものを食べ、飲みたいものを飲んで生活すると、往々にして、病に侵されてしまいます。ほとんどの病気が生活習慣病といわれる所以です。
近年、インフルエンザウイルスの変異株として「サブクレードK」と呼ばれる系統が注目されています。サブクレードKは、従来のインフルエンザウイルス株と比べて遺伝的な特徴の違いが見られ、感染力やワクチンへの反応にも変化が生じる可能性があります。現在、専門家による監視と研究が進められており、今後の流行状況やワクチン開発への影響が注目されています。
サブクレードKは、A型インフルエンザ(H3N2)の変異株で、従来型に比べ、少なくとも7カ所のアミノ酸変異が確認されているとのことです。そのため、ウイルスの表面の抗原性が変化しているようです。
問題は、今シーズンに用意されたワクチンが、サブクレードK株が広がる前のウイルス株をもとに設計されているため、ワクチンで誘導された免疫グロブリンの反応性が低い可能性を指摘されています。とはいえ、イギリスのデータ(サブクレードK株の流行が北半球で最初に報告された)によると、ワクチンは全く効果がないわけではなく、重症化抑制という観点では接種の価値は高いとされています。
問題は、免疫能が不十分な人たち(高齢者と乳幼児など)では重症化リスクがありますので、かかったら、安静と十分な観察が必要です。
また、従来使用されている、抗インフルエンザ薬の有用性については、これまでのところでは、『いずれの薬剤(2回飲むタイプ、単回投与のタイプに対しても)大規模な耐性拡大はないとされている状況です。
わが国でもこの変異株が、国立感染研で、確認されました。今年の冬はやや厳しい感染状況になる可能性があるとする専門家もいるようです。
11月23日は、1948年に勤労感謝の日として制定されましたが、もともとは宮中行事の一つである新嘗祭に由来しています。新嘗祭とは、その年の収穫された新穀を神に捧げ、収穫を感謝する行事です。
明治6年(1873年)に祝日として11月23日に決められましたが、それ以前には、
「11月の2番目の卯の日(中卯)」が新嘗祭の日と決められていました。明治になって、 太陰暦から太陽暦に変更されたとき、たまたまその日が11月23日だったため、それ以後 この日を制定したようです。その後、先述のように、1948年に「勤労感謝の日」として改称され、
「勤労を尊び、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」ことを趣旨として「国民の祝日に関する法律」で定められました。
新嘗祭にまつわる風習として、この日が来るまで、新米を食べないようにするというものがあります。逆に言えば、この日からその年の新米を食べ始めるという感謝を表すということでしょうか?
コメ問題が、大いに議論され、生産農家を守り、消費者には安い値段で提供するという、ある意味矛盾することをいかに軟着陸させるのか、食料安全保障の観点からも重要課題ですね。
今日は日付の語呂合わせで「いい夫婦の日」です。
歴史的には、1988年に当時の余暇開発センター(現日本生産性本部)が提唱して始まったものだそうです。
その趣旨は、
・夫婦でゆとりある時間を楽しむライフスタイルを広め、お互いに感謝の気持ちを伝え合う日 とすることを目的とする。
・バブル経済期に、レジャーを活性化させるという国の政策の一環として制定された背景。
といった目論見だったようですが、ご承知のように我が国のGDPは、30年以上のデフレ経済で、どんどん落ち込んでいき、国民には、そんな余裕もなくなり、新型コロナ政策で、ますますその傾向に拍車がかかり、今やインバウンド頼みのもろい国家に移行しつつあるようにも思えます。見かけ上、デフレは脱却したように見えていますが、実はコストプッシュ型または、サプライロス型のインフレによる物価高で疲弊してきています。
本来の「いい夫婦の日」が戻ってきますように。
最近、歌手の美川憲一さんが、パーキンソン病であることを公表しました。ガンや認知症であることを公表される有名人が増えてきました。それほど、こういった病気が珍しいものではなくなってきたということでしょうか?
海外でも映画俳優やアスリートなど、枚挙にいとまがありません。
悪名たかきアドルフ・ヒトラーもパーキンソン病だったと言われています。彼らの共通点は、甘いものが好きだったことがあげられ、この疾患と糖質に関連があるのではないかと考える向きもあります。
例えば、清涼飲料水です。ダイエットコーラというのがアメリカで流行し、日本にも入ってきて、爆発的な人気を呼びました。今でも、カロリーが少ないからと飲まれる方もおられます。成分表示を見てみると、甘味料として「アスパルテーム」とか、「スクラロース」といった表記があり、「糖質オフ」と記載されているものがたくさんあります。
これらの人工甘味料は、前者は、砂糖の200倍、後者は、600倍もの甘みがあり、摂取し続けると味覚が鈍り、自然の甘さでは物足りなくなっていきます。そして、これらの甘味料の入った加工食品を日常的に摂るようになります。
実は、これらの人工甘味料でもブドウ糖と同じようにインスリンが分泌されることが分かっています。それどころか、お菓子屋さんやパン屋さんの前を通り過ぎただけでも体が条件反射的に反応して、インスリンを分泌することも分かって来ました。
こうしてインスリンが無駄遣いされ、やがて枯渇(膵臓から分泌されるインスリンには上限があり、それを超えると分泌しにくくなります)して糖尿病になっていきます。
インスリンが頻繁に出て、血糖が下がると、これを補充しようとしてグルカゴンやノルアドレナリン、コルチゾール、快楽ホルモンのドーパミンなどのホルモンを次々に分泌することとなり、神経伝達物質(脳を動かす様々なホルモン)のアンバランスが起こります。
ドーパミンが枯渇したのが、パーキンソン病です。
自己免疫疾患の中でももっとも代表的な関節リウマチについて考えてみましょう。
関節リウマチに対する薬物療法は、症状の進行を抑え、関節の炎症や痛みを軽減することを目的としています。主な治療薬には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、ステロイド剤、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)、そして近年では生物学的製剤が使用されます。生物学的製剤は、免疫の異常な働きを直接抑えることで、従来の薬では十分に効果が得られなかった患者にも有効とされています。
治療の選択は患者の症状や進行度、合併症の有無などを総合的に判断して行われます。早期に治療を開始することで、関節の破壊を防ぎ、生活の質を維持することが期待できます。
生物学的製剤について
生物学的製剤とは、主にタンパク質などの生体成分を基にして作られた医薬品で、従来の化学合成薬とは異なる作用機序を持っています。関節リウマチや好酸球性副鼻腔炎などの自己免疫疾患においては、免疫系の異常な反応を標的とし、特定の分子や細胞に働きかけて炎症や組織の破壊を抑えることができます。
代表的な生物学的製剤には、腫瘍壊死因子(TNF‐α)阻害薬やインターロイキン阻害薬などがあり、これらは患者さんごとに異なる免疫の、過剰反応を抑制します。従来の治療で十分な効果が得られなかった場合でも、生物学的製剤を導入することで症状の改善が期待できますが、感染症など副作用のリスクがあるため、慎重な経過観察が必要です。
ここで出てきました腫瘍壊死因子(TNF‐α)ですが、外来でも説明をしつこく繰り返していますように、小麦のグルテンの影響で、この因子が本来の腫瘍を倒す働きを阻害され、間違って自分の関節を攻撃し始めた病気が関節リウマチと言えます。
発病してしまうと、治すのは大変です。ですからやはり予防が何よりも大事です。今何ともない方で、小麦や乳製品を摂り続けている方は、ほぼ8割以上の方が、これらの病気の予備軍となります。
当院は耳鼻咽喉科、アレルギー科、漢方科を標榜しておりますが、
やはり、今一番多いのは、アレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくなどのアレルギー性の病気の方々です。
中でもここ10数年、特に問題になってきているのが、好酸球性副鼻腔炎という病気です。
いわゆる自己免疫疾患の一つと考えられ、右肩上がりで増加しています。
血液中の好酸球という白血球が異常に増加して、体に障害を引き起こしてしまいます。 主な症状は、鼻閉、膿粘性鼻汁、そして嗅覚障害です。
特徴的なことはこの病気は成人になってから発病することです。
現在、好酸球の暴走による病気が沢山出てきています。好酸球性中耳炎、好酸球性肺炎、好酸球性食道炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性筋膜炎、好酸球性血管浮腫、等々、呼吸器、消化器にとどまらず、血管系、筋肉系など様々で、いずれも難病に指定されています。
また、自己免疫疾患には、このほかにもさまざまな種類が存在します。代表的なものとしては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、橋本病、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、クローン病、重症筋無力症、バセドウ病、強皮症、シェーグレン症候群などが挙げられます。 それぞれの疾患は、免疫系が本来攻撃すべきでない自分自身の組織や臓器を標的とすることで発症し、症状や影響を及ぼす部位は疾患ごとに異なります。
例えば、関節リウマチは主に関節に炎症を起こし、関節の腫れや痛みを引き起こします。 全身性エリテマトーデスは皮膚や関節、腎臓など全身に症状が現れることが特徴です。また、好酸球性副鼻腔炎のように、特定の臓器に炎症をもたらすタイプもあります。これらの疾患は近年増加傾向にあり、早期発見と適切な治療が重要となります。
このような自己免疫疾患は、我が国だけではなく、世界的にも増えるいっぽうです。日本では、戦後の70倍といわれています。
自己免疫疾患の多くは、原因不明とされ、診断がついたら、根本的に治す薬や治療法はなく、多くの病気で、ステロイド剤が唯一の薬剤でした。ところが、最近の研究の進歩で、最初のきっかけはわからないものの、症状が出るメカニズムに対して生物学的製剤という薬剤が使用されるようになりました。
これによっても無論、根治はできませんが、日常生活に支障が起こらない程度に改善を維持できるようになりました。ただし、いずれもとても高価な薬剤であり、医療費の爆上がり一因となっています。
以前にもご紹介したことがある、飯塚浩先生の『メンタルを強くする食習慣』の中から興味深いお話をご紹介します。
飯塚先生は、精神科の医師ですが、栄養療法についてもご造詣が深くさらには漢方医学にも精通しておられます。
ある症例についてのお話です。ご親戚の30代女性から相談を受けたそうです。
「東京中の皮膚科にかかったが、治らないひどいかゆみを伴う皮膚炎で悩んでおり、ステロイド剤の内服を含めたあらゆる治療を受けたがよくならないので、どこか良い皮膚科を紹介してほしい」ということだったそうです。さりげなく食事に誘って、食生活の状態を聞き出してみると、パン、麺類、お菓子など、栄養に乏しく、糖質の多いものばかりを食べていたとのことで、「今の食生活を改めないと治らない。小麦と乳製品はいっさいやめて、糖質も控えめにした方がよい。お菓子は厳禁だよ」と説明されたそうです。
結果、たったの3日で、あれほどひどかったかゆみがぴたりと止まってしまったそうです。そのまま良い経過だったのですが、一月ほどして、お土産にいただいたご当地グルメのラーメンを食べたとたん、猛烈な眠気に襲われ、ほとんど起き上がれず、1日中寝てしまったとのことです。
一体何が起こったのでしょうか?
『からだに毒となる食品を毎日食べていると、感覚が麻痺し、症状に気づきにくくなるという性質がからだにはあります。つまり、体調が悪いことに慣れすぎて自覚症状はなくても、体調が悪い状態は続いているのです。』
院長の経験では、久しぶりに小麦を食べたら、鼻炎症状や頭痛やアトピー性皮膚炎が一挙にもとにもどってしまった方をたくさん診ています。
逆にきちんと、グルテンやカゼイン、甘いもの、植物油を断った多くの方々は、長年の頭痛やしびれ、だるさなど、鼻炎や副鼻腔炎症状以外に全身的に体調がよくなったとおっしゃいます。
抗老化(アンチエイジング)は、人類永遠のテーマですね。学会もできて、様々な研究が行われています。ネズミの研究では、カロリーを制限することが、ある遺伝子の発現を活性化して、たくさんの餌を食べさせたネズミより長生きすることが報告されています。
この遺伝子はサーチュイン遺伝子と呼ばれます。そのほかに、ある種の抗がん剤や、糖尿病の薬などが老化を防ぐ可能性があるということで、話題になっています。
SGLT2阻害剤は本来糖尿病治療薬として開発され、血中のブドウ糖を尿に出して、血糖を下げる薬として知られています。近年では糖尿病以外の疾患への適応も注目されています。特に、慢性心不全や慢性腎臓病の治療において有効性が示されており、これらの疾患の患者に対しても使用が認可されています。これにより、心血管イベントや腎機能の悪化を抑制する効果が期待されています。SGLT2阻害剤は糖尿病治療薬として広く使用されていますが、副作用も報告されています。主な副作用としては、尿路感染症や性器感染症、脱水、低血糖(特に他の糖尿病薬と併用時)、またまれにケトアシドーシス(ケトン体と呼ばれる脂質から作られる物資:アセト酢酸、β‐ヒドロキシ酢酸、アセトンの3物質が血中に増えて、体が酸性に傾く現象)が挙げられます。服用中は十分な水分補給を心がけ、体調の変化に注意することが重要です。
SGLT2阻害剤は、腎臓に存在するナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)を選択的に阻害することで、血糖値を低下させます。通常、腎臓は糸球体で濾過されたグルコース(ブドウ糖)のほとんどを再吸収しますが、SGLT2阻害剤の作用によりこの再吸収が抑制され、グルコースが尿中に排泄されるため血糖値が下がります。これにより、インスリンに頼らずに血糖管理が可能となります。
この作用によって、老化した細胞へのブドウ糖供給を妨げ、老化細胞を白血球に処理させることで老化を防ぐ作用があるということで、臨床研究が始まっているようです。
老いていくことが生命体の宿命である限り、老いを止めることはできませんが、例えば、寝たきりになって一生を終えるより、その直前まで、身体活動を保っていたいと思うのが人情ですよね。いわゆるPPK(ぴんぴんころり)が理想です。
薬に頼るのではなく、合理的な食生活を維持することで、健康な体を保ちたいものです。
縄文時代の終焉。
紀元前1000年頃(今から3000年前)から弥生時代が始まるわけですが、それ以前の1万4000年間が縄文時代と言われています。今から約1万年前(縄文時代の初期頃)に、縄文海進という気候変動が起こります。海面が数百年の間にせり上がり、日本列島が大陸から切り離されます。それ以後、日本列島は、今のような島国を形成したといわれています。それ以後、日本独自の文明が長く続くことになりました。
約2600年前の佐賀県の菜畑遺跡から水田稲作の跡が発掘されています。稲作発祥の地と言われていますが、このころから農耕が伝わり、約2100年前の青森県、垂柳遺跡で水田稲作の跡が発掘されて、次第に西から東へ水田稲作が広がり、定着すると水田をたくさん持っている人が権力を握り、周りの水田を奪って、自分たちだけが豊かになろうという現象が起こってきます。これが戦争です。
つまり、水田稲作が戦争も連れてきたのです。
縄文時代の遺跡について(続き)
縄文時代は、およそ1万3千年前から約2,300年前まで続いた、日本列島における先史時代の一つです。この時代の特徴は、縄目模様のある土器(縄文土器)の使用と、狩猟・採集・漁業を中心とした生活様式にあります。
縄文時代の遺跡は、北海道から九州まで日本各地に点在しており、その代表的なものとして青森県の三内丸山遺跡があります。三内丸山遺跡では、大規模な集落跡や住居跡、貯蔵穴、土器や石器などが発見されており、当時の人々の生活の様子を知る貴重な資料となっています。
また、貝塚(かいづか)と呼ばれる貝殻の堆積した遺跡も多く見つかっており、縄文人が海や川の幸を豊富に利用していたことがわかります。これらの遺跡からは、縄文人の高度な技術や社会構造、自然との共生の様子がうかがえます。
三内丸山遺跡(青森県)
大森貝塚(東京都)
加曽利貝塚(千葉県)
登呂遺跡(静岡県)
板付遺跡(福岡県)
西ノ前遺跡(北海道)
吉野ヶ里遺跡(佐賀県)
押出遺跡(新潟県)
亀ヶ岡遺跡(青森県)
大泉町遺跡(群馬県)
このように、縄文の文明は日本中にあったことがわかります。戦争がなく、お互いを助け合う平和な時代が1万4000年続いてその後、この文明は衰退し、弥生時代に移行していきます。なぜ、この平和な時代は終焉を迎えたのでしょうか?
それは農耕の始まりだと考えられています。
立冬を過ぎて、朝夕がずいぶん寒くなってきました。すでに、例年よりも早くインフルエンザの流行が始まっています。インフルエンザワクチンを打つ前に罹ってしまった方は、ワクチンは打ったほうが良いのでしょうか?打たなくてもよいのでしょうか?という質問をよく受けます。
結論から言えば、かかった人でも一定の意義がありますが、条件によって、メリットの程度が変わります。
1.すでに打った方が打つ意義
① 今シーズンに流行する型は、一定ではありません。すでにかかった型が、予防ワクチンの型別と同じであるかの確認は実際的には難しいですので、別の型に罹る可能性はあります。
② 予防接種の中身は、今期のものは、A型が2種類、B型が1種類セットされています。したがって、すでにかかった型が今季流行するただ一つのタイプであれば、良いのですが、ほかのタイプが流行するとかかることがあります。
2.重症化予防には、追加接種が有用だといわれています。
3.デメリットとしては、ワクチンの本来の問題点です。
現在の皮下接種ワクチンには、防腐剤としての水銀製剤(チメロサール)が使われいるのがほとんどです。毎年の接種で、これが次第に蓄積することを指摘する専門家もいます。
最終的には、接種を受ける方の最終判断となります。
当院では、防腐剤(水銀製剤)の入っていないワクチンをなるべく優先して使用するようにしています。このタイプは数に限りがあるため、全員とはいきませんが、小さいお子様にはできる限り防腐剤フリーのものを打てるようにしています。
縄文時代人は、体も大きかったことが分かっています。顎が発達しており、いわゆる「えら」の張ったがっちりした顎顔面をしていたようです。もちろん親知らずなどはなく、しっかり8本づつ計32本の歯が生えるだけの顎をしていたと思われます。遺跡から分かることは、この頃の人々は、定住生活をしながら、70種類以上の食材を煮たり焼いたりして食べていたようです。従って多彩な食材を調理し、よく噛み、充分な栄養を取っていたと思われます。
そのような平和な文明は、弥生時代から一変します。稲作が伝わり、土器はデザイン性の少ない(戦いに明け暮れるためにデザイン性の高いものをつくる余裕が無くなったと見る向きもあります)シンプルな物になり、カロリーベースで、米さえ食べればエネルギー不足が起こらないため、様々な食材を求める努力が減ります。そして体格がだんだん小さく、顎が細くなっていきます。稲作の出来る水田を沢山持っている者が強い存在となっていきます。そして隣の村を侵略するようになっていきます。動物を倒すためではない人を殺すための武器が発明され、戦争が始まります。
皆が全てを分かち合い、平和に暮らすことを由とする時代から一部が裕福になり、周りを支配していく時代へと変化します。
1万年も続いた平和な縄文時代は、たかだか2000年ほどで、現在の混沌とした時代へ繋がってしまっています。1万年まではまだまだ先が長いですね。これからいったいどんな搾取の時代がやってくるのか?誰も想像できません。産業革命以来の大規模変革のAI時代が近づいて(正確にはもう始まっていますが)いることだけは間違いないかと思われます。
《日本の縄文時代について》
縄文時代は、約1万3千年前から紀元前3世紀頃まで続いた、日本の先史時代の一時期です。この時代の特徴は、縄目模様の付いた土器「縄文土器」の使用や、狩猟・採集・漁労を中心とした生活様式です。定住化が進み、竪穴住居に住み、自然と共生しながら多様な動植物を利用していました。
また、装飾品や土偶などの文化的遺物が多く見つかっており、精神的・宗教的な営みも存在していたことが分かります。縄文人は集落を形成し、地域ごとに独自の文化を築いていました。縄文時代は日本文化の原点とも言える重要な時代です。
世界の文明は、学校では、4大文明(メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、 中国文明)として習いますが、実際には、さらにそれよりはるかに昔から日本には縄文時代がありました。しかも、この平和な時代がなんと1万年も続いていたのです。
世界中のあらゆる文明では、常に、戦いに明け暮れる歴史です。自然を管理し、変革し、破壊していきます。ところが、世界のあらゆる文明の遺跡にはみられるもので、我が国にあった縄文時代の遺跡から一切見つかっていないものがあります。それは対人用の武器なのです。
つまり、縄文人たちは、1万年という長い期間に戦争というものをしなかったということなのです。気の遠くなるような期間、平和を維持し続けたということになります。
現在、世界の歴史学者たちがこぞって日本の縄文文明に興味を示し始めて理由の一つがここにあります。
類推するに、お互いを大事にし、助け合って高度の文明を維持していたようです。技術で言えば、その時代に、あれだけ複雑な模様の土器を発明し、煮るという料理法を編み出していたわけです。また、現在の科学をもってしても、解明できていない、ヒスイに正円形の穴をあける技法など非常に高度な技術を有していたのです。
その先祖の知識をもっともっと詳しく学校でも教えるべきではないかと思います。
自分のためだけでなく、周りの人のために働く(“はた”を楽にするという本来の意味)
そのような哲学が今の日本で十分に伝えられているでしょうか?
「今だけ・カネだけ・自分だけ」の考え方が広がり、勝ち残るために争い、人を蹴落とし、そして自分を追い込んでしまい、精神を病んでしまう。そのような国になりさがっていないでしょうか?
《控えたい食事》
1.加工食品・スナック・ファストフード:腸内環境を悪化させ、炎症を促進します。
2.糖分過多の飲料:白血球遊走能(病原体に即座に反応して駆けつける能力)や殺菌力の 低下、血糖変動を引き起こします。
3.過度のアルコール:粘膜防御の低下や免疫抑制を引き起こします。
4.睡眠不足・夜食 :コルチゾール(副腎皮質ホルモンの一種抗炎症作用が強く、 免疫反応を抑制する作用を持ちます)が多く分泌され免疫抑制が起こりやすくなります。
《そのほかの注意したい生活習慣》
1.睡眠 : 7時間前後が必要で、大事な事は規則的な睡眠です。つまり寝る時刻と起きる時刻を決めて、それを守ることで、体内時計(松果体が作る体内リズム)を一定にします。 これによって、NK細胞(ナチュラルキラー細胞:がん細胞などを倒すリンパ球)の活性が 上昇し、抗体(ウイルスや細菌などを直接攻撃する免疫物質)の産生を増やします。
また、朝起きて、オレンジ色の光(太陽光や白熱灯の光など)を浴びると、松果体の機能がスイッチオンされ、そこからおよそ17時間後にメラトニン(睡眠ホルモン)が分泌される ことが分かっています。
ですから「眠れない、眠れない」と言う前に、先ず朝の決まった時刻に起床すること から始めましょう。
2.軽い運動 : 毎日20~30分のウオーキングは、おすすめです。これによって、 免疫担当細胞の循環が良くなり、ストレスの発散にも繋がります。 歩数で言えば、一日4000歩を下まわらないようにしましょう。
3.入浴 :ぬるめのお湯に10-15分浸かる方法と、少し熱めのお湯に5分から10分浸かる方法があります。どちらも末梢の血流を増やし、粘膜代謝を上げる効果があります。自分の体質によりどちらかを選んで実行したいですね。不眠傾向の人は睡眠前に入浴することをお勧めします。
精神・神経疾患の増加を抑えるには、
「脳の栄養政策」とでも呼ぶべきアプローチが必要です。
① 学校・職場・高齢者施設での栄養教育の再構築
② 発酵食品・食物繊維・オメガ3脂肪酸の摂取推奨
③ 精製糖質・超加工食品の消費削減
④ 腸内細菌の健全化(プレ、プロバイオティクス)
⑤ 医療現場での「栄養精神医学(Nutritional Psychiatry)」の導入等を考慮したいところ ですが、政策的な問題を含んでいるために一朝一夕には行かないようです。
そこで、推奨されるのが、食による免疫強化を個人個人で行うことのすすめです。
A. 毎日摂りたい“免疫の土台”になる栄養素
たんぱく質:抗体免疫細胞の材料(魚 肉 卵 鶏胸肉 大豆 納豆など)
ビタミンA:粘膜保護(鼻・咽喉頭)(レバー にんじん カボチャ など)
ビタミンC:抗酸化・白血球機能向上(焼き海苔 柑橘 ブロッコリーなど)
ビタミンD:抗ウイルス性・免疫賦活作用(鮭 鯖 干し椎茸 日光など)
亜鉛: 抗体合成・味覚維持 (牡蠣 赤身肉 豆類など)
オメガ3脂肪酸:抗炎症・粘膜修復 (青魚 亜麻仁油 エゴマ油など
(但し植物油の摂りすぎは危険)
特に亜鉛とビタミンDは、日本人では不足しやすく、感染リスク低減に有効です。
B. 腸内環境を整える
発酵食品(納豆 味噌 ぬか漬けなど)(ヨーグルトなど乳製品は日本人には合わない)
食物繊維(ごぼう、キノコ類、海藻、など)
抗酸化ポリフェノール(緑茶 など)
何と言っても基本は、和食中心の食生活です。
:米+味噌汁+魚+肉+貝類+野菜+つけものといった内容です。
和食は世界遺産に登録されました。
世界中の人が日本食の素晴らしさを高く評価しています。にもかかわらず、朝からパン食の日本人がいかに多いことか?
米は白米ではなくて、出来れば玄米または、雑穀を混ぜて炊きたいですね。
動物性たんぱく質は、煮る、蒸す、焼く、の調理法で。
揚げる、炒めるは、避けましょう。
それでは、以上のような食の変化は戦後から現代までどのように変わってきたのでしょうか?世界のとの比較で見てみましょう。
日本での食の変化は、明らかです。
・米や雑穀中心のエネルギー補充が精製された小麦や精製された糖質、さらには脂質中心に置き換わりました。
・発酵食品や食物繊維・魚油の摂取量が明らかに減少しました。
・ファストフード・添加物・超加工食品の常食化の進展はこれまた明らかです。
・オメガ3/オメガ6比の崩壊も如実です。若い人が本当に魚を食べなくなりました。
・農薬、保存料、発色剤などの食品添加物は今や避けることが出来ません。
実はこの傾向は、欧米でも基本的に同じでした。
ただ違うのは、このような変化が何百年もの間に起こったのか、たかだか此の80年で起こったのかの違いが我が国に重くのしかかっているのです。
しかも、1970年以降、アメリカやヨーロッパでは、食の影響ということをいち早く大規模な疫学研究で確認し、上のような状況を防ぐ手立てを行ってきています。
その結果、日本以外の先進国や、東南アジアの国々もガンに罹る人やガンで亡くなる方が 減少傾向になっています。我が国だけは右肩上がりで、今や2人に1人がガンでなくなる国になってしまいました。これだけ医学が進歩しているのにもかかわらずです。
アメリカは、すでに発色剤を中心とする食品添加物の排除や砂糖の使用量の記載義務などを始めています。
次に、どんな食事が良いかを、レシピを中心に考えてみましょう。
精神・神経疾患における「食」の影響の2番目。
腸内細菌叢の変化です。最近の研究が著しく進んだ領域が腸脳相関と呼ばれる分野でしょう。腸の状態が脳に作用し、また、逆に脳の状態が腸に影響するという考え方です。現代の日本人の食は、食物繊維や発酵食品が不足するとともに、不用意な抗生剤や抗菌剤の使用により、腸内環境が影響され、本来の腸内細菌叢の多様性が低下してきています。その結果、うつ病、自閉症、統合失調症などが起こるとされます。
発酵食品といえば、日本人の伝統食の味噌やぬか漬けなどの摂取が減り、ヨーグルトやチーズなどの乳製品系の食品が増えてしまいました。そのなれの果てとして様々の不調が起こるようになっています。
3番目が、ミトコンドリア代謝の異常です。ミトコンドリアは、太古の昔に、酸素を利用してエネルギーを作り出す微生物が、動物の細胞に寄生したものです。侵入してきた異生物ですから、体細胞の遺伝子とは全く別のDNAを持っています。そしてこの遺伝子は、母親からしか伝わりません。
そして、何万年もの時を経て、私たちの細胞に居座り、私たちが、吸った酸素を利用してエネルギーを作り続けます。つまり、発電所のようなものです。その経路で不足するとよくないのが、微量の栄養素です。ミネラルの鉄、亜鉛、マグネシウムなどやビタミンB群や、必須脂肪酸などです。
これらが不足すると、この発電所のミトコンドリアが十分なエネルギーをつくれなくなり、パーキンソン病などの神経変性疾患やうつ病、ADHDなどの行動障害がひきおこされます。
今日は文化の日です。もともとは、1873(明治6年)に公布された法律によって定められた明治天皇の誕生日を祝日としたもので、1911年までは、「天長節」と呼ばれていましたが、大正天皇が即位後(1927年昭和2年)は、「明治節」と改称されていました。そして太平洋戦争後に、日本国憲法がGHQの指導の下に制定された際に、その公布された日を「文化の日」として改めています。
昭和23年にできた国民の祝日法の第2条によれば、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨としています。
その当時、祝日法制定の中心人物だった参議院文化委員長の山本有三の引退後の回顧録「文化の日ができるまで」によれば、もともと、憲法発布日は11月1日の予定であったが、その半年後の施行となると、5月1日のメーデーに重なるため、直前になって11月3日に変更されたそうです。
裏話として、GHQが明治天皇の誕生日である11月3日の明治節を「憲法記念日」とすることに絶対反対を主張、その圧力に押された衆議院が、憲法記念日を施行日の5月3日とすることを同意してしまい、参議院が孤立する形になってしまったそうです。
GHQ側からは、その後に公布日を憲法記念日という名前にしなければよいから、何かほかの名前でどうかという打診があり、1948年の参議院文化委員会において、山本は次のように説明したとのことです。
「憲法において、如何なる国もまだやったことのない戦争放棄ということを宣言した重大な日でありまして、日本としては、この日は忘れがたい日なので、是非ともこの日は残したい。そうして戦争放棄をしたということは、全く軍国主義でなくなり、又、本当に平和を愛する建前から、あの宣言をしておるのでありますから、この日をそういう意味で、『自由と平和を愛し、文化を進める。』そういう『文化の日』ということに我々は決めたわけなのです。」
文化の日の歴史を紐解くと、このようにいろいろな力が作用しあっていたことがわかります。
高脂肪食の中でも、先日までの説明のように、植物油が炎症の原因になります。植物性の油は、現在は、ほとんどの場合、ヘキサン抽出法で精製されます。従来の圧搾法のみで作られる油はとても少なく、ヘキサンと呼ばれる石油系油と原料を混ぜ、加熱して、油を抽出する方法です。この時点で、とても危険な物であると言わざるを得ませんが、さらに、植物油は、熱や体内で酸化され、アルデヒドという物質に変化します。
アルデヒドとは、分子の末端の水酸基が酸化されて、炭素がついた構造を言いますが、例えば、アルコールが酸化されできるアルデヒドは、二日酔いの原因になります。油から出来たアルデヒドは、アルコールのそれと違い、水に溶けませんので、尿として排泄ができず、いつまでもリンパ管の中をさまよいます。そしてリンパ航路の終着駅であるリンパ節やリンパの豊富な臓器(扁桃、乳腺、甲状腺、前立腺、肺、大腸、脳、皮膚など)に蓄積します。また、血管系にも固着して動脈硬化を起こしますので、血管の豊富な臓器(腎臓、肝臓、目、など)にも病気を起こします。
いよいよ今年もあと2ヶ月なりました。今日から3連休の方もいらっしゃるようです。
さて、不登校や欠勤の人が増加中ですが、原因の多くは、精神神経疾患と言われています。
これらが増えた理由はなんでしょうか?沢山の理由があるかと思います。
栄養療法の立場から、やはり「食」の問題を避けては通れません。
食と精神神経疾患に関する論文がどれほどあるかをAIに訊ねてみますと、
あまたの論文を整理してくれます。
精神・神経疾患における食の影響は、主に以下の経路で説明されるという返事をくれました。その内容があまりに私が外来柄で指導している内容に近似していたために、逆に驚いていますが、① 炎症・酸化ストレス ② 腸内細菌叢(腸脳相関)③ ミトコンドリアの代謝異常 ④ 血糖変動と神経興奮 ⑤ 神経伝達物質の前駆体不足が、栄養との関連で影響して精神神経疾患を引き起こすと考えられます。
一つずつ考えてみましょう。①の炎症や酸化ストレスは、高脂肪・高糖質・超加工食品で、全身性炎症や脳内炎症を引き起こします。その結果、うつ病・認知症・パーキンソン病が起こることが報告されています。
10月30日付の朝刊のトップに、県内不登校最多5676人。7年連続更新。との記事が掲載されました。その理由は、小学生(756人)と高校生(726人)では、「生活リズムの不調」がトップで、中学生(3158人)は、「学校生活に対してやる気が出ない等」がトップだったということです。県教委は、増加し続ける理由として、新型コロナウイルス禍以降の登校意識の変化に加え、「生活リズムの不調を抱える子供の指導、支援に課題があった。」と指摘したということです。
私は、自分の立場上、これらは食の変化の影響によるものが大きいと考えております。
今後しばらくは、「学校に行けない子供たちと仕事に行けない大人たち」の問題について考えてみたいと思います。
『 コレステロールは悪者か?』
奥山治美先生著の「本当は危ない植物油」からの続きです。
第5章 間違った植物油安全神話は「コレステロール悪玉仮説から始まった」 『約60年前にアメリカから導入されたのがコレステロール悪玉仮説です。
動脈硬化に伴う脳卒中や心筋梗塞のほか、多くの病気が、コレステロールが詰まるせいにされました。そしてとにかくコレステロールを下げる食品を「善」、コレステロールを含む食品を「悪」とする、これまたアメリカ流の善悪二元論で断罪する栄養学が、長く日本を席捲していました(現在でも、多くの学会の現状はそのままです)。
そして見つけたのが「植物油のリノール酸」でした。その結果、「植物油は動脈硬化を防ぐ良い油」、「コレステロールを減らして血液サラサラ」などの宣伝文句とともに、瞬く間に健康食の地位を得たのです。健康食として位置を占めたことが、私は、植物油の問題を大きく、根の深いものにしていると思います。つまりここに、「薬害と同じ人災」の側面を考えずにいられません。そしてその理論は、「コレステロール低下剤」の販売にまでつながっています。非常に奥の深い、巨額の利益が、人々の健康意識に絡んで吸い上げられている可能性があります。』
植物油の危険性について 続
奥山治美先生の著書「本当は危険な植物油脂」の第二章 油脂の選び方で寿命が変わるー「キャノーラ油」の環境ホルモン作用
先生は以下のように書いておられます。『そして分かってきたことは、私たちが食べている油脂には急性の毒は無いということです。どんな油を食べても、見かけ上、ほとんど差がありません。しかし、長期に与えて蓄積したときに、油の種類の差が明らかになってきたのです。その差は、「健康」にも「精力」にも、大きな差となって現れてきたのです。』
『キャノーラ油の環境ホルモン作用は、話題になったダイオキシンよりも強い事が分かりました』また最近とみに増えている前立腺癌ですが、これに関しても以下のように述べておられます。『私たちの研究では、前立腺癌は、植物油に含まれる「リノール酸」「アラキドン酸」などのオメガ6群が促進し、魚油などに含まれる「DHA」や植物に含まれる「αリノレン酸」などのオメガ3群が抑制します』
第五章 間違った植物油安全神話は「コレステロール悪玉仮説」から始まった。次回へ続く
油について考えます。豚や牛の固形の油は健康に悪くてサラサラの液体の植物油は健康に良い・・本当でしょうか?
『本当は危ない植物油』(奥山治美 著)を改めてみてみましょう。
第1章のタイトルがすごいです。「とりわけ日本人男性の精子の数が減ってきた」
びっくりしますが、著者は、名古屋大学名誉教授で、NGO日本油脂食品安全協議会理事長であり、日本資質栄養学会の初代会長も務めた方です。
第1章では、少子化問題の本質として、取り上げています。実は、日本人男性の精子数が 20年前から減ってきているそうです。精子数の減少は世界的な趨勢ですが、特に日本人男性で顕著だそうです。さて、その原因は?
「戦後の食生活の変化、とりわけ植物油脂の大量使用で、これほど短期間に植物油脂の摂取量が増えた事例は過去に類を見ないそうです。なんと、戦後の約50倍になっており、その変化のつけが今回ってきているのではと推測しています。現在、20歳代の男性の精子数は、40歳代の人の半分だという研究結果があります。
なぜなら、植物油脂の中には、いわゆる環境ホルモンと呼ばれる偽の性ホルモンがたくさん含まれており、これが長い間に自然に性転換現象を起こしてきていると考えられます。
動物実験では、もっともその作用が強いのが、キャノーラ油だということです。
子供たちが、小さいころから鶏のから揚げや、ポテトチップスを食べ続けることで、次第に知らないうちに性転換させられている可能性があるのです。
キャノーラ油は、カナダ産の菜種油ですが、副作用が強く食用としては最も適さない油の一つですが、日本のみならず、世界的にも堂々とサラダオイルとして売られ、一般の人は誰も安全性に問題があると思っていません。
「学校に行けない子供たちと仕事に行けない大人たち」(高橋嗣明 著)「メンタルが強くなる食事」(飯塚 浩 著)。同じ栄養療法を実践しておられる著名な先生方が執筆されている本です。食事が問題なのはよく言われますが、実際どれほどの方々が、不定な症状に悩まされ、日常生活を楽しいと感じることのないまま頑張っているか?これらの本を読むとよく分かります。
私の外来にも遠路、栄養療法や、上咽頭治療を求めて受診される方がいらっしゃいますが、共通して言えることは、必要な物を食べずに、体を痛めつける物を食べている、それが常態化していると言う点です。
以前にも砂糖中毒の話を書きましたが、グルテン、カゼイン、糖(ブドウ糖・果糖・液糖)そして植物油。これらは、全て中毒性があります。つまり「やめられない・止まらない」という状況に陥るということです。
日本人は今や2人に一人が癌で死ぬ国になってしまいました。これだけ医療が進歩しているのになぜ癌で死ぬ人が増えているのでしょうか?しかも、他の国では癌による死亡者数はすでに減少に転じています。アメリカもドイツもフランスも、近隣のアジア諸国ですら減少傾向です。なぜ、日本だけが増えているのでしょうか?
高齢化でしょうか?いいえ、違います。現在5歳から9歳の子供たちのグループの死因第1位は、悪性腫瘍なのです。しかも癌ではなくて肉腫(白血病、脳腫瘍、骨肉腫など)一筋縄ではいかない治療が難しい物ばかりです。もちろん40歳代以上は全ての年代で癌が第一位です。決して高齢化が原因ではありません。ましてや遺伝や煙草でもありません。
メンタルがやられてしまうのも、癌や自己免疫疾患が急増しているのも全て食が原因と考えるのが妥当です。
自己免疫疾患は、アレルギー性疾患や糖尿病やガンと同じように、年々増加しています。
リウマチやシェーグレン症候群、SLE,皮膚筋炎、パーキンソン病、線維筋痛症、多系統萎縮症、などの難病は1970年ごろに比較して70倍に増えているというデータがあります。なぜそうなったのか、本当のことは誰にもわかりません。
アメリカの保険長官ロバート・ケネディJrは、こう言っています。「アメリカは今、病んでいる。それは子供たちが食べているものがおかしいからだ」とMake America Healthy Again.(MAHA)を合言葉に子供たちやアメリカ人の食を正そうと活動しています。
食品添加物の排除が手始めです。国を挙げて取り組んでくれることに心から敬意を表します。我が国の現状を振り返ると暗澹たる気持ちにもなりますが、希望をなくさずに頑張るしかないかと思います。
出た症状を抑える、コントロールする、これがほとんど保険診療のやり方です。詳しい問診(とくにこれまで、食べてきたもの、基本的な生活習慣)をすることもなく、今ある症状をガイドライン的にコントロールする。これだと、薬を飲んでいる間は症状がある程度緩和するかもしれませんが、治ることはありません。
昔なかったアレルギー性の病気が増えてきた原因は、昔と違う食習慣が原因と考えるのが合理的です。つまり、身土不二という漢方的な考えが大事で、いわゆる日本食、世界遺産にも登録されている和食が我々の民族にとって必要にして十分な食べ物といえるのではないでしょうか?
アレルギー性疾患や自己免疫疾患が起こっている重要原因のひとつが、まず小麦のグルテンです。小麦は、もともとメソポタミア文明で有名な、チグリス・ユーフラテス川の周辺に自生していた植物です。これを人が栽培し始めたのが、約1万年前で、人類が最も早く栽培した穀物といわれています。小麦の原種は、一粒小麦といって、グルテンがとても少なく、外皮が固く、脱穀しにくい品種だったそうです。グルテンが少ないために、パンに膨らみは出ませんが、香ばしくて栄養価(タンパク質・カロテノイド・抗酸化成分などが豊富)が高く、現代でも古代小麦として健康志向の食材や、グルテン不耐症の人向けに再評価されてきているようです。
原種は、脱穀や調理が難しいので、品種改良がすすめられ、柔らかいよく膨らむパンになるように、グルテンが増やされていきました。
パスタやマカロニ用に発展したエンマー小麦やデュラム小麦、主に現在最もよく利用されているパンや麺類用のパン小麦です。中でも、パン小麦とデュラム小麦はグルテン量が多く、グルテンネットを強固に作り出し、消化が難しく、いわゆるグルテン不耐症やセリアック病などを引き起こします。
一方、同じ麦の仲間でも、ライムギや大麦にはグルテン様物質はとても少なく、グルテンネットを作らないため、消化性は良好です。
このグルテンが、人類に様々な不調をもたらすのです。
耳鼻咽喉科的には、一番多いアレルギー疾患は、やはりアレルギー性鼻炎でしょう。通年性、季節性と大きく二つに分けますが、前者の原因で最多なのは、いわゆるハウスダストダニです。後者の代表は、スギやイネ科などの花粉症です。
特にこの時期には、イネ科の花粉症、ハウスダストダニ(夏の間に増えたダニが死んで布団に残ったアレルギー物質)による反応に加えて、春に飛ぶはずのスギ花粉がポカポカ陽気にだまされて未成長のまま飛んだりして、花粉症の症状を起こすことがあります。
このようなアレルギー性鼻炎症状がどうして起こるかのメカニズムについての研究は数限りなく行われ、それぞれの症状を抑える薬剤はとても沢山開発されました。
それで、いったい病気が減ったかというと、真逆です。前述のように、今や花粉症を含めたアレルギー性鼻炎は我が国の国民病とも呼ばれる始末です。
良い薬や高い薬が開発されればされるほど、患者は右肩上がりで増え続けて、医療費は爆上がりしています。いったいどうなっているのでしょうかねえ。
アレルギー性疾患の原因について。
アレルギー性疾患が増加していることはよく知られています。例えばスギ花粉症についていえば、全国民の半数近くに上っています。ダニアレルギーまで加えると、今や国民の6割がアレルギー性鼻炎の罹患者とも言われます。加えてアトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性肺炎などなど、好酸球(白血球のうちで、アレルギー反応を抑えるために増加する仲間 = 増えすぎるとそれ自体が組織障害を引き起こす)増多に伴う病気が増加しています。
重症例は好酸球性副鼻腔炎とか好酸球性胃腸炎とか好酸球性肺炎などのように好酸球性~という病名が付けられ、今や厚労省の難病に指定され、生物学的製剤と呼ばれる大変高価な薬剤が使用され、コントロールに寄与しています。
しかしながら、この治療とて根本的な方法ではありません。医療費の増大には寄与しますが、人の健康には寄与しないかもしれません。
根本的な方策とはなんでしょうか?我が国では、まだまだ理解が十分に浸透しているとはいえませんが、海外では、すでにごく一般的な常識になっているのが、小麦粉のグルテンによる免疫異常です。グルテン不耐症とも言われますが、我が国の医学会ではこの言葉自体を拒否する風潮があります。学問的に証明されていないと云う理由からです。
「論より証拠」ということばがありますが、学術的な理論はさておき、臨床的な事例は枚挙にいとまがありません。一番有名なのは、世界的テニスプレイヤーにノバク・ジョコビッチのエピソードです。著書の「ジョコビッチの生まれ変わる食事」を読んでいただきたいですね。
・いよいよ36項目をざっと挙げてみましょう。
プレデセン博士のグループが指摘するのは、いくつかの血液検査項目に加えて、以下に挙げる生活習慣が問題だとしています。
・頭部外傷の既往
・全身麻酔を受けたことがある
・歯の治療でアマルガムを入れている
・水銀値の高い魚(マグロやかつおなど)の常食
・多剤薬剤内服(特に安定剤、抗うつ剤、降圧剤、スタチン系薬剤(コレステロールを下げる薬剤)、プロトンポンプ阻害剤(逆流性食道炎の薬)、抗ヒスタミン剤(花粉症の薬))
・違法薬物(大麻、覚醒剤など)の摂取
・アルコールの常飲
・喫煙
・口腔内衛生の不備
・移植手術の既往がある
・肝臓、腎臓、肺、もしくは心臓に疾患がある
・いびきをかく
・高温圧搾の油を摂っている(パーム油など)
・トランス脂肪酸(マーガリンやショートニングなど)または、単糖類の多い食べ物を食べている。
・慢性副鼻腔疾患がある
・腹部膨満感や再発性の下痢などのような胃腸疾患がある
・家、車、仕事場にカビが生えている。
・加工食品や無機食品を食べている
・ダニにかまれたことがある
・逆流性食道炎の治療のためにプロトンポンプ阻害剤を服用している
(消化に必要な胃酸を減少させ、亜鉛やビタミンB12の摂取を減少させる)
・化粧品、ヘアスプレー、制汗剤を使っている
・あまり汗をかかない(汗は毒素を除去する重要なルートの一つである)
・下痢している
・精製水を十分に飲んでいない
以上のすべてが認知機能低下の原因になる可能性がある。と言っています。
さて、アルツハイマー病を起こす物質として有名なものが、アミロイドβです。実はこれは、アミロイド前駆たんぱく質(APP)から作られます。APPは、依存性受容体と呼ばれるたんぱく質の一種で、このたんぱく質が、ある酵素の働きで、2カ所で切断された4種類のタンパクの一部がアミロイドβです。アミロイドβは、APPの働きを阻害して、脳細胞の自滅(自殺)を早めてしまうのです。ところが、また、APPが別の酵素によって一カ所で切断されてできた2種類のたんぱく質は逆に脳細胞が壊れる(自殺する)のを防ぐことが分かっています。
少し難しくなりましたが、APPが分解して二つになればアルツハイマー病を防ぐ働きを示し、2カ所で切断されてできた物質の一部が病気を進行させるという非常に複雑な病態であることが分かってきています。現在、いろいろな薬品会社が、これを元に薬の開発にしのぎを削っています。ところが、単独の薬剤で解決するほど甘くなかったのです。
APPが2カ所で切断されないために影響する因子がおよそ36個あると言うことなのです。
アルツハイマー病の36項目の原因について、簡単に説明したいと思います。
デール・プレデセンたちが言うには、アルツハイマー病は、屋根に36個の穴が開いた家と同じだということです。つまり、その穴を一つ一つふさぐことができれば快方に向かうというわけです。
その穴とは?
プレデセン博士の研究チームは、1994年に、アルツハイマー病やハンチントン病などの遺伝子を組み込んだマウスの脳細胞が、ちょっとした刺激(栄養素を減らしたり、毒性のある物質をシャーレに加えるなど)で、正常細胞に比べて、いとも簡単に自殺してしまうことを発見しました。
細胞の自殺は、生理的にも絶えず起こっています。例えば、2秒数える間に、あなたの白血球は、100万個も自殺して、また新しい100万個に置き換わっています。60兆個もあると言われる全身の細胞で言えば、もっと膨大な数の細胞が自殺(アポトーシス:プログラムされた細胞死)し、新しいものに置き換わっています。この過程で、がん細胞や異常な細胞ができています。
博士たちは、このシャーレ内モデルをアルツハイマー病の単純モデルとして、これに対して、何千もの化学物質を添加することで、自殺メカニズムを阻害する物質の特定に邁進したのです。
認知症は今や、世界中の大きな問題です。我が国では、2022年時点で、約443万人で、65歳以上の高齢者における割合は約8人に1人となっています。さらに、軽度認知症(MCI)を含めると1000万人を超えています。65歳以上の3~4人に1人というとてつもない数です。中でも、多いのが、アルツハイマー型認知症(認知症全体の約6割)です。
現在、はっきりと効果のある、あるいは進行を止められる有効な薬剤はありません。発症してしまうと、進行を遅らせる程度しかできないと言われています。
アルツハイマー病の研究で有名な、アメリカのUCLA(カリフォルニア大学ロサンジェルス校)のデール・プレデセン博士らのグループは、リコード法という治療プログラムを開発し、9割以上の患者を症状改善に導いていると報告しています。
参考:デール・プレデセン著、白澤卓二 訳『アルツハイマー病 真実と終焉』
この本によると、アルツハイマー病の原因は、36項目あり、これらをつぶしていけば改善に向かうとされ、また予防もできると説明されています。 36項目とは何でしょうか? 数年前に、当院の院内新聞でこの本をご紹介したことがありましたが、外来診療を続けていて、さらにこの本の内容の信憑性の高さを実感しています。
毎週水曜日は、当院の補聴器相談日です。
WHO(世界保健機構)によると、認知症の予防ガイドラインでは、認知症は予防できる病気であるという考え方が強調されています。危険因子の中には、もちろんなんと言っても生活習慣病(糖尿病、高脂血症、高血圧、循環器疾患)が挙げられています。これらの予防が最も大事なのは言うまでもありません。対策として食事の改善、適度な運動に加えて次に大事な項目として難聴の管理が挙げられています。
現在、両側の聴力レベルが70dB以上になると、身体障害者として認定され、補聴器の費用の一部が補助されます。しかし、このレベルに至るまでの中等度難聴者への介入が必要なことは言うまでもありません。
全国的には、50~70dBまでの中等度難聴者への補助が広がってきております。鹿児島県では、曽於市がいち早く導入しておりましたが、今年の4月から阿久根市も導入を開始しました。当市(薩摩川内市)でも、現在、陳情中です。来年度から導入してくれればと大きな期待をしております。
本日は、彼岸の中日です。仏教では、あの世に一番近い日とか言われます。言わずと知れた、昼夜の時間が同じになる日で、明日以降は夜の時間が長くなっていきます。秋の夜長というわけです。暑さ寒さも彼岸まで、明日以降は放射冷却なども相まって、朝夕の気温差が目立ってきます。空気もからっと乾いて、過ごしやすくなっていきます。
昼間の暑さはまだしばらく続きますが、エアコンの温度や扇風機の使い方に工夫が必要な時期です。夏の間に増えたダニの清掃も早めにやっておきましょう。また、いずれ使うことを考えて押し入れにしまっていた布団や毛布の準備もやっときましょう。夜中に寒くなって、いきなり毛布を引っ張り出しますと、鼻炎や喘息の悪化に繋がります。
お腹を冷やす食材もそろそろおしまいです。
先述の小倉重成先生のご本からの一節で大変示唆に富むお話を一つ。多くの難病を奇跡のように治してこられた先生の言葉だけに重みがあります。
『植物性脂肪なら少しは良かろうと思っていたが、ベーチェット病ともなると、油炒め程度でも葡萄膜炎を起こして、視力が低下するのをしばしば経験して、ついには使用できなくなった。考えてみれば玄米、大豆、胡麻など、いずれもそれ自身の中に脂肪が活性型で含まれているのであり、わざわざ、絞って死んだ食品を摂ることの不可を教えられた。
重症・難症の治ってゆく食べ方の質と量ならば、健康な人にとっては病になりがたい理想的なもののはずである。
我々は、エネルギーを取り入れ、それを燃焼させて生きて行く。もし燃やせなくなれば、それは死を意味する。そして多く取り入れても、少なく取り入れても全部燃焼させてしまうのである。たとえ肥満体質で、余分が肥満に廻るとしても、肥満そのものが危険な状態である。そしてその肥満にも限度があり、象ほどには大きくなれないのである。
竈(かまど)に薪(まき)を燃やすときに、薪が多すぎるとくすぶり、少なくいれたときよりも薪の消費量が多く、しかも飯の炊きあがりが遅れる。それと同様に、釣り合いのとれたものを必要最小限度に摂れば完全燃焼して、疲れがたく、病みがたいのである。』
けだし、名言です。
健康の維持のために必要最小限なものが何か?
たいへん、難しい問題です。必要ではないけれども、嗜好品として食べてしまっているものが、いかに多いか?または、どうしても止められないものが、いかに多いか。私自分も含めて、食習慣を見直すことはかなり困難ですが、そのようなものの中に体に合わなくて、排除されなければならないものがあると、体が反応します。どうやって排除するのか?便に出す、尿に出す、皮膚から汗や油として出す、吐いて出す、うまく出せなかったものが、積もり積もって、いろいろな病気を起こしてきます。
良い排便習慣のための食物繊維の摂り方の基本は、水様性1:不溶性2の割合が良いと言われています。たとえば、ゴボウ(不溶性)を食べるときには、ワカメ(水様性)のみそ汁をプラスするなど。
次に有効なのは、発酵食品と一緒に食べる方法です。たとえば、納豆、味噌、ぬか漬けなどの発酵食品を摂ることで、腸内細菌の動きがより活発になります。また、1度にたくさんではなくて、毎食に振り分けてこつこつ食べる事が大事です。
参考になる食事を表にしてみました。私の尊敬してやまない小倉重成先生の文献から転用しました。 参考:小倉重成著 自然治癒力を生かせ 難症治療の決め手 創元社刊
弛緩性便秘は、高齢者に多く見られるタイプで、大腸の動きが悪く、緊張低下で腸が緩く拡張して、ため込んでしまうタイプです。数日間出なくてもあまり異常を感じないことが多く、一週間以上も出ないといった方もいらっしゃいます。ため込んでから下剤で流すといったパターンになるようです。
このタイプでは、弛緩性の状態を改善させる補中益気湯を下剤の漢方(麻子仁丸、桃核承気湯、センナなど)と併用すると良い場合が多いですね。
3番目の痙攣性便秘は、横行結腸、下行結腸、S状結腸が痙攣して便の通過が悪いために起こるタイプです。過敏性腸症候群の一部の症状として表れることが多く、自律神経のバランスが崩れている方の便秘です。むしろ少量頻回の排便になることが多く、排便回数だけだと便秘といわれないこともある様です。
このタイプでは、対症的には、桂枝加芍薬湯や桂枝加芍薬大黄湯などを用いることが多いですが、やはり、精神的な要因を取り除くことが根本治療には必要です。栄養の面からストレス解消になるような食事の立て直しが一つの方法です。
便秘のタイプは大きく二つに分かれます。一つは何かしらの閉塞するものが腸の中に存在している器質的な便秘(腫瘍や腸閉塞)と、働き上の問題で起こる機能性便秘です。
さらに、機能性便秘には、① 直腸型便秘 ② 弛緩性 ③ 痙攣性 があります。
習慣性便秘の中で、多いのが①のタイプです。
胃結腸反射という反射があります。便塊は、通常下行結腸(下腹部の左側にあります)とそれにつながるS状結腸に溜まっています。ここにあるうちは、便意を催しません。口から食べ物が入り、もぐもぐと良く噛んで、胃に食物が降りてきますと胃の蠕動運動(芋虫が動くような胃の動き)が起こります。この動きに反応して、結腸が動き出します。溜まっていた便塊が直腸へ押し出されますと直腸圧が上がって便意を感じます。その時点で、トイレに行って、用を足すことが最も大切な排便習慣となります。
何らかの理由で、このタイミングを逃すと、直腸圧が次第に下がってしまい、便意が遠のいてしまいます。
このタイプの便秘が多いのは女性です。これにはいくつかの理由がありますが、お母さんたちを含めて女性には朝やらなければならないことがたくさんあって、ついついこのタイミングを逃してしまい、きちんとした排便習慣ができない方が一定数いらっしゃるようです。
また、朝ご飯を食べない方もこの便秘になりやすいと言われます。
漢方的に言いますと、このタイプには桃核承気湯が基本処方です。が、正しい食習慣を身につける事が最も大事です。溶ける食物繊維(水様性食物繊維:海藻類、大麦、オーツ麦、こんにゃくなど)と溶けない食物繊維(不溶性食物繊維:ゴボウ、ブロッコリー、キャベツ、豆類、玄米、キノコ類)をバランス良くたくさん摂ることが大事です。
免疫を高める食事の摂り方。 2 腸は脳より賢い
免疫を高める食事の摂り方。
なんといっても一番大事なのは、腸内環境が整う食事です。腸は、海の中で初めて出現した生命体にとって最初にできあがった臓器です。脳の無い生物はいても、腸の無い生物はいません。基本、生物は「喰う」・「寝る」・「出す」です。患者さんを見ていて、どうしたらよいのかほんとに迷ったとき、私は次の言葉を思い出します。「ヒトは、たかが5尺の糞ヒリ虫」。そのヒトが生きるためには、その人にとって必要なもの(民俗学的な長い歴史の中で育まれた本当に必要な食べ物)を食べ、必要でないものを食べないことです。
弱って何も食べなくなった飼い犬にペットフードを止めて、生肉を食べさせたら元気を回復したという話がありますが、ヒトも本来同じなのではないでしょうか?
人にとって、必要な食べ物は何か? 食べないほうが良いものは何か?
このことを考えることが大事です。
一般の会社員にとっては、昨日から3連休と言うことですが、9/15は、敬老の日です。ハッピーマンデー方式は、1998年に制定された祝日改正法が、2000年から施行され始め、国民の祝日の一部をその本来の日から特定の月曜日に移動させることで、土日と合わせて3連休を増やすという制度です。
成人の日、海の日、敬老の日、スポーツの日の4つが対象です。敬老の日は、9月の第3月曜日となりました。敬老の日は、もともと9月15日でしたから、今年は本来日になっています。
そもそも、敬老の日の始まりは、1947年に兵庫県・野間谷村(現在の多可町)で「としよりの日」として制定されたものだそうですが、それが全国的に広がったそうです。なぜ9月15日かというと、農閑期で気候が良い9月の中旬頃が適当だとされたそうです。
ほかにも、聖徳太子が悲田院を設立した日にちなんでいるとか、元正天皇が養老の滝に行幸された日にちなんだという説があるそうです。
「敬老の日」という名称になったのは、1966年(昭和41年)だそうです。私が小学校2年生の頃ですね。
長年働いてくれた高齢者に感謝し、その労をねぎらい、更にその長寿をお祝いするというのが趣旨だそうです。高齢者をいくつからとするかは決められていませんが、一般的には65歳以上とする考え方が主流のようです。
この時期にしては珍しく、インフルエンザが流行っています。
今シーズンのワクチン株の情報が公開されました。スペイン風邪型と香港風邪型更にB型が配合されているようです。
どうやらいずれもオーストラリアに帰縁する株のようです。南半球の彼の地は、こちらが夏だと当然冬ですので、向こうの冬に流行した株を予想してのワクチン作成なのかもしれません。
皮下投与のワクチンは、当然予防効果はありません。作られる免疫グロブリンがIgGですから、理論的には発症後の重症化予防に期待するというものです。現在流行中のインフルエンザはおそらく万博やインバウンドの増加で持ち込まれた株が広がったものと考えられます。現在では、発症しても抗ウイルス剤や漢方薬での対処で重症化を防ぐことが出来ます。ただ、数年に一度強毒化が起こりますので、そのウイルスが広がると乳幼児や高齢者、基礎疾患を持っている方では重症化の危険があり、早めに対処する必要があります。
以前よく見られたインフルエンザ脳症は、スペイン風邪型が多いと言われており、特に思春期の男児のリスクが高いと言われていました。現在流行中の株に今冬に準備されたワクチンが有効かどうかは全くの未知数です。手洗い、うがい、免疫を落とさない食事、充分な睡眠を確保して乗り切るようにしましょう。
機会をみて、免疫を落とさない食事について考えたいと思います。
加工食品の怖さについて
加工された食品は、4つに分類されています(NOVA分類)。
第1群は、未加工または長期保存や簡単調理のための加工食品(例:野菜、果物、穀物、肉や魚の切り身など)
第2群は、下ごしらえや風味付けのための加工食品(例:精製塩、砂糖、バター、植物油など)
第3群は、1群と2群を併せた加工食品(例;野菜や果物、肉、魚の缶詰、ビン詰めなど)
問題の第4群は、大量生産された超加工食品です。
たとえば、ファストフード、インスタント食品、菓子パンなどです。
例:アイスクリーム、パン、ピザ、洋菓子、シリアル、ポテトチップス、マーガリン、マヨネーズやケチャップ、キャンディなどなど膨大な数の加工食品。
第4群の食品は、顧客にリピートして買って貰えるように、ありとあらゆる添加物が入ってiて、これらの食品は、どういう風に加工したら、親から子や孫へ代々に渡って食べさせ続けるかを綿密な戦略の元に作られています。ですから一度やみつきになると『やめられない。止まらない』といったことになります。
加工の要点は、まず甘くすること、食物繊維を減らす事(食べやすくするため)、たんぱく質を減らす事(一の食欲は食べたたんぱく質の総量によって規制されます)、腐らないようにすること(保存料や防腐剤を入れる)、見た目を良くすること(着色料を使う)などです。これらの加工は、実に巧妙にあらゆる超加工食品に導入されています。
日本ではあまり大きく報道されていませんが、アメリカの第2次トランプ政権下の保健長官に就任したロバート・ケネディ・ジュニア氏は、これらの食品添加物を根絶やしにして、アメリカ人の健康を取り戻すという壮大な計画を実行中です。
便秘について
耳鼻咽喉科でなぜ便秘の話かと言いますと、耳鼻咽喉科頭頸部外科領域は、感覚の科でもあります。つまり、12種類ある脳神経(脳から直接出てくる神経)のうち、視神経以外の11種類を扱うということです。「嗅いでみる動く車の三の外、顔聞くのどの迷う副舌」などと医学部の学生の時に覚えたものですが、嗅神経、視神経、動眼神経、滑車神経、三叉神経、外転神経、顔面神経、内耳神経、舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経の12種類です。それぞれに大切な働きを持っていますが、これに加えて、体性神経、自律神経(交感神経と副交感神経)が複雑に絡み合っているわけです。
ちょっとしたストレスでもその影響は、胃や腸の動きに影響します。入り口と出口が大事と言いますが、きちんと毎日食べて、きちんと毎日出す。これが動物の基本です。東洋医学的にも排尿や排便の状態はとても大事で、当院では、必ず食事の内容や食事の回数、間隔に小便と大便の状態をお尋ねしています。
大便通は、特に大事で、毎日スルスルと堅くもなく柔らかすぎずに出ていることが健康のバロメータになります。
便秘を改善する基本は、① 朝ご飯を食べること ② 良く噛んで食べる事 ③食物繊維をたくさん摂ること ④ 加工食品を大量に摂らないことです。
朝、きちんと良く噛んで食べるとその刺激で胃が動きます、胃が動くと胃結腸反射という反射が起こり、便意を催します。便秘の方では朝食を食べない方が少なからず見受けられます。食べている方でもパン食が主体で、ヨーグルト、野菜ジュース、ハムやソーセージと言った組み合わせで、食物繊維が極端に少ない方もいらっしゃいます。なるべく和食主体にして、海藻タップリのお味噌汁を摂りたいですね。加工食品がなぜ良くないかというと、加工する際に、極力食物繊維やたんぱく質を減らすようにされているからです。
石破総理が9月8日に辞任を表明しました。10月4日に自民党の総裁選が予定されています。少数与党のままでの総裁選は、史上初めてのことだそうです。私たちが大きなうねりの中にいることは間違いありませんね。
秋の花粉がそろそろ飛び始める時期が近づきました。実りの秋ですが、夏草から秋の草へ移行していきます。イネ科の花粉は、5、6月と9、10月の2回飛ぶのが特徴です。
寒暖差が出てきてそれが実りを呼ぶのです。
全国的にも季節外れのインフルエンザやコロナ感染症が拡大傾向のようですし、百日咳の患者が全国で7万人を突破したという報道もありました。
夏の暑さに慣れた体が朝夕の気温差に曝されて体調を崩されやすく、アレルギー性の病気や、精神的な不安定さによる症状が出始めるのがこの時期です。
夏に消耗したからだに充分な栄養を補充して、しっかり寝て、朝から勇気を出して、起き上がり元気に一日一日を乗り切りましょう。
朝日のオレンジ色の光を浴びると、脳の松果体の体内時計がリセットされます。そしてそこから17時間後に睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されます。すると自然の眠気に見舞われ、熟睡できます。寝る時刻と起きる時刻を一定にし、そのリズムを崩さないようにして体に無駄な変調を起こさないようにしましょう。 大谷選手やイチロー選手のように、ルーティンを決め、無駄な疲れをためないようにすることが健康を守る秘訣です。
本日は、重陽の節句です。中国で、縁起の良い奇数「9」が重なる、つまり「陽」が重なる日で、古来無病息災や長寿を願う日とされています。もともとは古代中国から伝わり、不老長寿の象徴とされた菊の花をめでるために「菊の節句」とも呼ばれています。この日は、菊の花にちなんだ「菊酒」や「着せ綿」の風習や秋の味覚である「栗ご飯」を食べる習慣があるようです。
医者の立場としては、夏の暑さが和らぎ、暑熱に対する慣れから朝夕の気温差に対応できず体調を崩す人が出始めるこの時期に健康長寿を祈るというこの節句はまさに理にかなっていると思います。さて、今夜は、菊酒でもいただいて、皆さんの健康をお祈りしましょうか?
学校が始まったとたん、感染症が流行し始めました。COVID19(新型コロナウイルス感染症)とインフルエンザ等です。コロナの蔓延で、この数年マスク生活に慣れてしまい、免疫が低下している可能性があります。罹っている人は飛沫を防ぐためにマスク着用は有用です。しかし、罹っていない元気な人はなるべくマスクをしないで、免疫を高めるようにしたいものです。
基本的にウイルスや細菌は、まず、上咽頭(鼻の一番奥の壁)にトラップされ、そこに集落を作ります。その場所は、リンパの集積している場所で、感染対策の最前線です。
ここでまずやっつけられなければ、粘膜内から血管内に侵入を許してしまいます。今度は、これに対して排除反応が起こり、熱が出ます。体温を上げることによって病原体をやっつけるのです。普段からマスクを着用していると、鼻からの呼吸が妨げられ、上咽頭の活性化が起こりにくくなってしまいます。普段から色んなウイルスに曝(さら)され、免疫グロブリンのIgAを高めておく必要があります。
秋の気配が少しずつと言いたいところですが、今日も猛暑です。昼間の気温は尋常ではないですね。それでも季節は変化しており、朝はやや涼しくて、鼻炎や喘息症状が悪化した方の受診が増えてきました。夏の間に増えたダニが死んで、布団の中に残ります。ダニは、たまごからかえってだいたい三週間で成虫になりますが、その間に3回ほど脱皮しますし、排便排尿もします。これらはたんぱく質ですので、当然アレルギー反応の原因となります。また、エアコンの吹き出し口や、フイルターにもカビやホコリが溜まってきていることもあります。いったん充分な清掃をしてみましょう。
秋の花粉が飛び始めるまでにはまだ少し余裕がありますので、今のうちにダニやカビによる影響を減らしておきましょう。
何より気を付けたいのは、小麦のグルテンと乳製品のカゼインです。重症の方では、この二つは可能な限り減らしましょう。グルテンフリー食品が比較的容易に手に入る時代になりましたので、そういうものを利用するのも一つの方法です。いずれにしてもグルテン不耐症は、今やアメリカではおよそ30%、ヨーロッパでも10-20%いると言われ、グルテンフリー食品は、なんと1960年以前からその必要性が説明されていたようです。
日本でもようやく認知度が上がってきています。
秋の気配が少しずつと言いたいところですが、今日も猛暑です。昼間の気温は尋常ではないですね。それでも季節は変化しており、朝はやや涼しくて、鼻炎や喘息症状が悪化した方の受診が増えてきました。夏の間に増えたダニが死んで、布団の中に残ります。ダニは、たまごからかえってだいたい三週間で成虫になりますが、その間に3回ほど脱皮しますし、排便排尿もします。これらはたんぱく質ですので、当然アレルギー反応の原因となります。また、エアコンの吹き出し口や、フイルターにもカビやホコリが溜まってきていることもあります。いったん充分な清掃をしてみましょう。
秋の花粉が飛び始めるまでにはまだ少し余裕がありますので、今のうちにダニやカビによる影響を減らしておきましょう。
何より気を付けたいのは、小麦のグルテンと乳製品のカゼインです。重症の方では、この二つは可能な限り減らしましょう。グルテンフリー食品が比較的容易に手に入る時代になりましたので、そういうものを利用するのも一つの方法です。いずれにしてもグルテン不耐症は、今やアメリカではおよそ30%、ヨーロッパでも10-20%いると言われ、グルテンフリー食品は、なんと1960年以前からその必要性が説明されていたようです。
日本でもようやく認知度が上がってきています。
危険な耳鳴りについて。
まずは拍動性の耳鳴りです。つまり脈拍と同期して起こる低い音の耳鳴りは要注意です。「ザッザッ」というような拍動性の耳鳴りは脳動脈瘤や脳動静脈奇形が原因の事があります。高血圧の男性症例では要注意です。脳動静脈奇形で脳外科へ紹介して紹介して手術になった方がいらっしゃいます。
次は、片方の耳鳴りです。次第に難聴が進行するタイプで、聴力に左右差がある場合ですね。こういう人では聴神経腫瘍が隠れている場合があります。また、突発性難聴という急にどちらかの耳の聞こえが悪くなる病気に伴う耳鳴りもありますので、治療が遅れると治りが悪くなると言われています。
基本的には始まってから間もない耳鳴りは要注意です。長く持続していても左右差や聞こえに左右差がある場合には気をつけたいですね。
耳鳴りは本当に手強いです。起こる理由もめまいと同じで、危険なものから主に老化に伴う生理的なものまで様々だからです。
一番多いのは、やはり加齢に伴うものでしょう。ヒトのきこえは、鼓膜に到達した音の物理的なエネルギーが蝸牛という装置で、電気信号に変換されて脳の聴覚野(大脳の一番後ろのほうにあります)に伝えられ、言葉や音楽として理解されます。
加齢による聴力の低下は、高い周波数から順番に起こってきます。ヒトが聞き取ることのできる音の周波数は、20ヘルツから最大20000ヘルツといわれており、年齢が若い人ほど高い周波数を聞き取ることができます。通常の聴力検査では、125Hzから8000Hzまでの間で検査を行います。以前、ニュースでも話題になったことがありますが、コンビニ前でたむろする若い人たちを撃退するために、若い人たちにしか聞こえないモスキート音と呼ばれる高周波発生装置を店の前に設置する動きがありました。
また、電子体温計のピピツという音は高齢者では聞き取れません。体温計を作る企業にもブザー音や振動音で知らせてくれる機種の開発を以前申し入れしたことがありましたが、なしのつぶてでした。
閑話休題、高音が聞こえなくなってくると、脳の聴覚野は、聞こえない音を一所懸命に聞こうとして過敏になるといわれており、聞こえない周波数(現状検査できる限界の8000Hz)と同じ耳鳴りを感じてしまうようになります。この場合、通常は、両側の高音難聴があることが多いです。主な治療は、補聴器によるマスキング法です。また、それ以上の老化を遅らせるような栄養の摂り方は大変重要です。
「頭痛」を主訴にして受診される患者さんは、以前当院で調べた結果では全外来患者さんの中で約10%(年間の外来患者総数5100名中、536名 2012年)でした。
男女別では圧倒的に女性が多く、約7割を占めていました。なかでも30歳代の女性が最も多い事が分かりました。
国際頭痛学会での分類では、頭痛の種類を13項目にも分類しております。中でも有名なのが、1.片頭痛 2.緊張型頭痛 3.群発頭痛及びその他の三叉神経・自律神経性頭痛の3つです。そのほかに、当科で主に扱うものに、11.頭蓋骨、頸部、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいはその他の顔面、頭蓋の組成組織の障害に起因する頭痛あるいは顔面痛 12.精神疾患による頭痛、13.頭部神経痛および中枢性顔面痛があります。
このように頭痛の原因は多岐にわたり、大変複雑です。
当院では、まず、副鼻腔炎によるものや頭蓋内腫瘍などの器質的な病気が無いかをまずチェックします。そういうものがあればそれに対する治療を行いますが、実際には先ほどお示ししたプロフィールでも分かりますように30代女性に多い事から、女性特有の代謝に起因していないかの検索が重要だと思います。つまり鉄分の不足やその代謝異常が原因になっていることがかなり多いと思われます。実際に鉄を補充することで解消される症例も沢山いらっしゃいます。
一方、朝夕の寒暖差が出てくるこの時期に頭痛や頬部痛を訴える方が増加します。これは11分類の頭痛ですので、副鼻腔炎やアレルギー症状を抑える薬が有効になります。
参考文献
内薗明裕:症候名としての頭痛症例についての検討.痛みと漢方24:2014.
スマホのブルーライトによる睡眠障害以外にも気をつけたいのが、いわゆるスマホネックから起こる頸椎症性神経根症です。耳が痛いと言って受診する子どもたちの中には、鼓膜や外耳道に異常を認めない症例がよくみられます。この手の痛みは、持続性の痛み(主には中耳炎など)、接触痛・圧痛(外耳炎、外耳道炎など)と違って、急に針で刺すような痛みだったり、何かの拍子に急に痛くなったり、また急に治まったりします。
つまり神経痛ですね。スマホ時間が長いと、頚椎のカーブが次第にまっすぐに伸びるようになっていきます。ストレートネックといいますが、最近これがスマホの使用時間の長い人に多く見られるようになって、スマホネックなどと呼ばれるようになってしまいました。印象としては、思春期から20代の女性に多いようです。
以前に私は「耳鏡所見で異常のない耳痛について」というテーマで、学会で報告して論文も書いています。また、その後日報として頚椎変形に特化した報告もしております。
スマホ時間は長くならざるを得ないのが現状です。オーストラリアのように16才まで規制をかけるという方法もあるでしょう。スマホがこれほど普及した世界の行く末がどうなるのか、誰も見たことがないのですから予測はできません。
参考文献
① 内薗明裕:所見のない耳痛に対する漢方薬の効果.痛みと漢方22:,2012.
② 内薗明裕:頚椎変形を伴う頭頚部痛に対する漢方療法の有用性について.
痛みと漢方27:77-81,2017.
新学期が始まりました。
先日、ある学校の保健委員会に出席してきましたが、生徒さんたちがいつもながら実に積極的に保健活動をしておられて大変感激しました。睡眠がとても大事だという啓蒙のために『宇宙戦隊ネムレンジャー』という動画まで制作して、生徒の皆さんに共有していました。中でも私が気に入ったのは、ブルーライトを防止してくれるアオレンジャーの活躍でした。生徒諸君も先生方もスマホやタブレットの長時間使用に伴うブルーライト被害を実感してらっしゃるようで、意識の高さに感心しました。ブルーライトは睡眠ホルモンのメラトニンを壊すと言われております。
最近は、小学生の時から1人に1台のタブレットを持たされ、これを使った授業も数時間単位であるようです。
マイクロソフト社の創始者であるビル・ゲイツは、自分の子どもたちを16才までスマホの使用を禁止している寄宿舎付きの学校に入れているというのは有名な話です。スマホにおぼれると、脳を使う週間が身につかないからと言うのが言い分だそうです。
いまや、スマホやタブレット、パソコンは、撤去不能どころかインフラの中でも最も重要なものになっています。これがなければ世の中が成り立たないというレベルです。それだけに、危うい綱渡りのようなものとも言えそうです。
今日で8月も終わりです。8月31日は野菜の日だそうです。霊長類は、基本的に雑食です。野菜を食べるライオンがいないように、肉を食べるシマウマもいません。食べる食材は、歯を見れば分かります。イヌやネコ族は、肉や魚を食べ易いようにとがった歯になっていますし、ウマやウシなどの草食動物は、食べた物をすりつぶせるように臼状になっています。人類は、尖った歯と臼状の歯が混在しており、つまり何でも食べられると言うことです。
その昔に、人類(正確には霊長類とモルモット)は、ビタミンCを体内で作る事ができなくなりました。その代わりに神様が抗酸化物質として残してくれたものが、尿酸です。
なぜ野菜を食べなければならないのか?
その理由の一つがビタミンCです。夏野菜には、特にビタミンCが豊富なものもあります。
次に食物繊維です。
野菜の日をキッカケにしてでも旬の野菜をタップリ摂りましょう
全国的にはまた、猛暑が戻ってきたようです。
東洋医学では、暑さの外因を暑邪と言います。暑さに晒され続けると、昨日お話ししたように、交感神経が緊張しすぎてしまいます。車で言えば、アクセル全開状態がずっと続くようなものです。どこかでブレーキを踏まないと、カーブを曲がりきれなかったり、車がオーバーヒートしたりしますね。
ブレーキをきかせるには、前しか見えなくなって、運転に没頭している運転手に横から声をかけてセーブしてくれる助手が必要です。車だと道の駅に一旦止めて、休憩して、ガソリン補充やエンジンオイルなどの点検をすれば良いでしょう。
人間の場合は、休息して、必要な栄養を補充し、充分な睡眠をとることです。しかしながら、車ほど単純ではないのが人間です。アクセル全開の理由がどこにあるのかを突き止めて、それへの対応策を講じなければ、結局その場限りになってしまい、同じ事が繰り返されてしまいますよね。
外来診療も全く同じ事が言えます。時間を掛けてお話を聞き、病気の原因がどこにあるのかを探る。その原因を消すためにはどうすればいいのかを一緒に考えていくプロセスが大事だなあと思います。
全国的にはまた、猛暑が戻ってきたようです。
暑さに体がずいぶんと慣れて、汗のかきかたを体が覚えてくると、猛暑酷暑と言われる夏でも この時期になると熱中症も起こしにくくなってきています。これを暑熱順化と言います。
水分や塩分の取り方がわかってきて、体のほうも、さらさらした、いい汗をかくようになってきます。しかしそれにも限度があります。暑さへの対応は必然的に交感神経の緊張を強いることになります。ここでは、副交感神経を働かせて、からだの疲労を溜めないことが大事になります。
つまり必要にして十分な睡眠と栄養を摂ることです。普段しない方でも15分から30分以内を目安にお昼寝を推奨します。それ以上長い昼寝は逆効果です。夜の睡眠バランスを崩してしまうからです。栄養は、旬の夏野菜を中心に、体が高温でダメージを受けないようにしたいですね。キュウリやトマト、ゴーヤやオクラ、ナスなどをうまく調理して食べましょう。動物性たんぱく質を一緒に摂ることがとても大事です。また、清涼飲料水や冷たい食品の取り過ぎは逆に消化機能を押さえつけてしまうこともあります。ますます夏ばての誘因になってしまいますので注意しましょう。
夏休みが終わりに近づき、宿題に追われる子どもたちや親御さんたちの悲鳴が聞こえてきそうです。全国的に猛暑と豪雨が交代で襲来した夏でした。台風シーズンはまだまだこれからですので、油断おさおさ怠りなくと言ったところです。とは言いつつも、朝夕はだいぶ涼しい感じになって来ましたし、夕方になると一気に暗くなり、いわゆる秋のつるべ落としといった風情も見受けられます。
生活のリズムが変わると、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れやすくなります。
たとえば、喘息やアレルギー性鼻炎などの異常免疫疾患が悪化しやすいのもこの時期です。
「かぜと疲れと季節の変わり目」これは、喘息発作が起こるときのきっかけとなる要件です。
そろそろエアコンの掃除をやってみましょう。夏の間にカビがはえていないか?フィルターの目詰まりはないかなどチェックが必要です。
また涼しくなったからといって、いきなり毛布を引っ張り出す様なことのないように、秋へ向かって準備しておきたいですね。毛布や肌掛け布団は、天日干しして、掃除機かけて、いつでも使えるようにしておくとよいですね。
アレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくの直接的な原因になるハウスダストのダニは、夏の間におよそ3回脱皮して成虫になり、卵を産みます。その間、おしっこやうんちもします。また脱皮した皮もアレルゲン(アレルギーを起原因原因物質)となります。布団に掃除機もかけましょう。布団よりもベッドというご家庭もあるかとお思いますが、いわゆる毎日のベッドメイキングは大切です。布団を敷いて寝るご家庭では、たたんでいきなり押し入れにいれると、夜の間にかいた汗でダニが繁殖しやすくなります。とりあえず、乾燥させておくことが大事です。
残念ながら、押し入れの中に換気扇がついている家は、まだ少ないでしょうから・・・。
各地で花火大会が開催され、コロナで自粛ムードだった数年間を考えると、日常が戻ってきたかなという気持ちにもなります。ただ、大会に参加された後に咽頭痛や咳を訴える方が、少なからずいらっしゃいます。
検査してみますと新型コロナウイルス抗原検査が陽性に出る人の割合がやや高いようです。以前にくらべて、高熱が出ることも無く倦怠感や全身痛が出るというわけでもありませんが、中には、咳が残ったり、臭いや味が分からなくなったり、後から倦怠感が出てきたりする患者さんもいらっしゃいます。
マスクの着用も以前のように多く見られなくなり、自然免疫が確立していっているようです。ご高齢の方ではなおその後の経過観察が必要ですが、罹ったとしてもさほど重症化を心配する必要はなさそうです。
手洗いやうがいなどの基本的な対策以外で、大事なのが、やはり食事と睡眠です。
免疫を落とさないような食事(なるべく和食中心)を心がけ、充分な睡眠を確保しましょう。
各地で花火大会が開催され、コロナで自粛ムードだった数年間を考えると、日常が戻ってきたかなという気持ちにもなります。ただ、大会に参加された後に咽頭痛や咳を訴える方が、少なからずいらっしゃいます。
検査してみますと新型コロナウイルス抗原検査が陽性に出る人の割合がやや高いようです。以前にくらべて、高熱が出ることも無く倦怠感や全身痛が出るというわけでもありませんが、中には、咳が残ったり、臭いや味が分からなくなったり、後から倦怠感が出てきたりする患者さんもいらっしゃいます。
マスクの着用も以前のように多く見られなくなり、自然免疫が確立していっているようです。ご高齢の方ではなおその後の経過観察が必要ですが、罹ったとしてもさほど重症化を心配する必要はなさそうです。
手洗いやうがいなどの基本的な対策以外で、大事なのが、やはり食事と睡眠です。
免疫を落とさないような食事(なるべく和食中心)を心がけ、充分な睡眠を確保しましょう。
耳の病気 夏編
急に耳が痛くなる病気は、おもに外耳道炎(外耳炎)と中耳炎です。
もちろん、最近よく見られる頸椎症性神経根症による神経痛としての耳痛もありますが、こちらは次回の話題にしましょう。
夏に多いのは、外耳炎です。プールや水遊びの後に、耳に水が入って、それを取ろうとして掻きすぎて起こることが多いですね。
問題なのは、消毒されていない川や池などで泳いだり遊んだりした後に起こった場合です。この場合には、「緑膿菌」というやっかいな菌によって起こることがあります。
この菌は通常の内服抗生剤が効きにくく、炎症が拡大して外耳道の皮膚が強い炎症を起こして、耳の穴がせまくなって聞き取りにくくなることもあります。さらには、蜂窩織炎という耳の穴の皮膚や皮下組織全体に広がるような重症な病気に移行することがあります。
症状は、とにかく触ると痛むというものです。以前、旅行者のかたで、温泉で感染したという患者さんもいらっしゃいました。水回りに良くいる細菌ですので、注意が必要です。
新型コロナウイルス感染症をはじめとして、急性呼吸器感染症が結構流行しているようです。しばらく前に比べて コロナウイルスの迅速検査の件数も増えています。
呼吸器感染の後に起こってくるのが、急性副鼻腔炎です。主な症状は前頭部痛や頬部痛、鼻づまりと膿性後鼻漏、及びそれに伴う嗅覚障害や咳などです。
ウイルス感染症後に細菌感染症が起こることが多いのですが、これらの細菌で重要な物が肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ菌、溶連菌です。
特に、慢性化してしまうときには、肺炎球菌の中でもムコーズス型(コアグラーゼ3型)が問題になることが数十年前から指摘されています。
近年では、抗生物質による菌の選択が起こってきており、抗生剤の効きにくい菌が増えてきた歴史があります。
感冒後の症状で重要な物の一つが嗅覚障害です。嗅覚障害は、感染ウイルスそのものによる嗅神経の障害と、後遺症として起こった鼻炎や副鼻腔炎によるものとに分類されます。
嗅神経そのものが傷害された場合には、治りが遅れることもあります。どちらが原因かを確認して、それなりの対処が迅速に行われることが大切です。
夏の食養生について。
基本ワードは『天然』です。東洋医学には元々「医食同源」という考え方と「身土不二」という考え方があります。食事が薬だということと自分の生まれ育ったところにできたものが体を作ると言うことです。つまり地産地消ですね。
現在では、都会にいようが田舎にいようが、大手チェーン店の同じような加工食品がいつでも手に入ります。工場で加工の手が入ったものには何かしらの食品添加物が入っています。さらに、夏ともなると冷たい飲み物や食べ物が増えますし、スムージーやその他の、噛まずに簡単に摂れる食品が増えてしまいます。
咀嚼が不十分になると唾液による初期消化が不十分になります。火事も初期消火が大事ですが、消化も初期消化がとても大事です。そもそも、胃では炭水化物が消化できません(胃の消化酵素はペプシンを中心とする蛋白分解酵素です)ので、あまり噛まないような炭水化物(いわゆる粉もの系)の大量摂取は、胃の消化に負担をかけてしまいます。唾液には、炭水化物を分解してくれるアミラーゼ、脂肪を分解してくれるリパーゼが含まれていますし、ガン細胞を押さえてくれるペルオキシダーゼや病原菌に対抗してくれるAMP(抗菌物質antimicrobial products)など様々な有用物質が含まれています。ですから液体系の食品をたくさん摂ると、唾液が薄められて、これらの有用な物質の恩恵にあずかれなくなってしまいます。まずは、一口30回良く噛む習慣を身につけたいですね。
猛暑が続いたかと思うと、一転、線状降水帯の発生です。2週間前に、霧島・姶良を中心としたエリアが、大水害に見舞われ、まだ復旧のさなかなのに、またもや台風と熱帯低気圧の入れ変わりで、豪雨になっています。
これだけ気圧が大きく変動するといわゆる『天気痛』と言われる気圧性頭痛やめまいを訴える患者さんが急増します。
漢方的には、風湿熱による頭痛です。湿熱に曝されて、体内の水の滞りや欠乏が生じてしまい、口渇を起こし尿量が減少しますが、逆に内耳には水分が貯留して体全体としては水のアンバランスが起こります。この変化が頭痛やめまいを起こします。特に気圧が下がりはじめに頭痛が起こりやすいのが特徴です。気圧が完全に下がりきってしまうと頭痛が軽くなる方が多いようです。
こういうときによく使われるのが五苓散という漢方薬です。代表的な利水剤で、体質的には冷えのない、口渇や局所の浮腫がある人によく効きます。
院長も学会で報告していますが、かなりの即効性もあり、また容量依存的に効果が強くなりますので、これから先の台風シーズンには手放せないという方も少なくありません。
~参考~
内薗明裕:頭頸部領域の疼痛症例に対する漢方方剤の外来即時内服の有用性についての検討.痛みと漢方32:130-136,2023.
8月も残り10日となりましたが、まだまだ猛暑は続くようです。
そろそろ夏の疲れが出てくる頃です。冷たいものの摂りすぎで胃腸が弱っているところに暑熱のストレスがかかり、消化吸収力が低下します。
東洋医学的には、脾胃を守る食材が役に立ちます。
大根 キャベツ 山芋 白身魚 鶏のささみ おかゆ 煮物や蒸し料理です。
逆に避けるべき食材や食品は、脂っこいもの、辛い物、カフェインを含むもの、アルコールの大量摂取、冷たい食べ物やのみものなどです。
そして食べ方も大事です。
温かい食材を食べること、よく噛んで食べること、少量ずつこまめに食べる、大食い、早食いは、胃腸に大きな負担をかけます。
食材を選び、食べ方に注意して夏を乗り切って、秋を迎えましょう。
夏の帰省シーズンが一段落して、この間に全国的にいろいろな感染症の小規模な流行がみられるようです。夏の暑さで乱れた自律神経の影響で、免疫力が低下したのか、このところ新型コロナウイルス感染症の検査が増えてきました。今では5類感染症となっていますので、厳密には自宅待機の縛りはありません。従来の型に比較しますと現在のオミクロン型から派生したニンバス型は独力があまり強くないようです。針で刺すようなのどの痛みがやや特徴的です。75歳以上の高齢者では肺炎への移行など、一定の注意が必要です。
幼小児では、高熱や咳がひどく長引く子どもたちが一定数おられ、マイコプラズマだったり、百日咳だったり、はたまたインフルエンザだったり様々です。いわゆる夏風邪といわれるアデノウイルスやヘルパンギーナなども交ざってきますので注意が必要です。
咽頭痛でいえば、溶連菌感染症の方も混在していますので、診断を確定させる必要があります。
ウイルス性の場合には、抗生剤が無効ですので、漢方薬を主体とした治療が有用です。しかし、細菌性やマイコプラズマの場合には抗生剤や抗菌剤を適切にきちんと服用する必要が出てきます。
手洗い、うがいの前に十分な栄養と睡眠を摂って、自律神経のバランスを整えておきましょう
自律神経は、その名の通り、神経が自立して働くことを意味しています。つまり、ヒトの意思とは無関係に、自動で体のアクセルとブレーキを調整してくれるシステムです。
最近の車では、速度を設定すると、車間距離を守り、車線からはみ出すのを防ぎますし、危険を察知してよけたりするものも出てきてますね。さらに進化したものでは、ルート設定すると運転手なしで動くバスやタクシーも諸外国では実用化されたりしていますよね。
あれと同じで、運転手の意思にかかわらずに、自動で体のバランスをとってくれているのが自律神経です。これには交感神経システムと副交感システムがあります。前者は簡単にいえば、車のアクセルです。一方、後者は、ブレーキです。この絶妙なバランスが、上手な運転ということになります。
ストレスが続く状態では、アクセル踏みっぱなしになってしまい車が壊れてしまいます。大切なのは、オンとオフの切り替え、十分な睡眠と休息をとりつつ、ストレスを発散する方法を習慣として身に着けることが様々な病気を防いでくれます。
全国的な酷暑が続いております。
夏に特有な感染症も気をつけなければいけませんが、暑さによる免疫能の低下、栄養素の消耗などに基づくめまいや頭痛、耳鳴りなどの症状にも注意が必要です。
夏の暑さがピークになると、それとは知らずに交感神経の緊張度が高まり、発汗等による血液循環量の減少が様々な不調をもたらします。
台風や豪雨などの気圧の変化がそれに追い打ちを掛けます。耳の奥の内耳は聞こえ(蝸牛神経)と体のバランス(前庭神経及び三半規管)の両方を受け持つ機関ですが、ここに栄養を送る血管は大変細く(血管条と呼ばれます)、交感神経の緊張が続くと血流障害を起こして、難聴や耳鳴り、めまいを起こします。
また、交感神経の緊張で起こりやすい、歯ぎしりや食いしばりが直接のきっかけとなる事があります。歯ぎしりや食いしばりが日常的にある方や顎関節症を指摘された方では、特に注意が必要です。
次は自律神経について考えてみましょう
80回目の終戦の日です。
300万人を超えるたくさんの方々のご冥福をお祈りしたいと思います。
さて、慢性上咽頭炎のメカニズムについてはまだよくわかっておりません。最近の研究では、上咽頭の常在菌に対する過剰反応がいろいろな病態を引き起こしているだろうというところまでわかってきています。
上咽頭を擦過して、出血が認められると上咽頭炎があるという判断になり、原則として1週間に1回、10回程度、外来で上咽頭擦過療法を行います。またできる方は、ご自宅で鼻うがいを実践していただくことをお勧めします。
当院では、さらに血液検査を行って、鉄や亜鉛、ビタミンなどの状態をチェックして欠乏が明らかであれば、食事の指導に加えて補充療法を行います。
新型コロナウイルス感染症後遺症では、上咽頭にウイルスのかけらが免疫学的に残存していることが報告されていまして、擦過療法でそれが消失するということも確認されています。
大雨が上がり、また猛暑が戻ってきました。熱の出る感染症や咳の続く感染症もさることながら、熱中症の増加にはとても注意が必要です。
熱を見たときに、鑑別しなければなりません。炎天下での不要不急の行動は控えましょう
今年の日本耳鼻咽喉科学会の教育講演でも取り上げられておりましたが、じつは、上咽頭の慢性的な炎症が、様々な不定愁訴の原因になっていることは、1960年代から報告されていました。
最近になって、ようやく定義が決められつつあり、まずは一か月以上続く、局所や全身の主症状を起こしている病態で、その原因をほかに特定できない病態です。
症状群を大きく分けると3つになります。
① 局所的な症状:頑固な後鼻漏や咽喉頭異常感
② 自律神経のアンバランスによる症状:めまい、不眠、いらいらなど
③ 病巣感染としての遠隔臓器に起こる病状:IgA腎症、掌蹠膿疱症など
これらに対し、上咽頭擦過療法(EAT療法またはBスポット療法)が有効なことがあります。当院では、5年ほど前から実施中ですが、全国的にも治療機関が広がってきており、学会でも頻繁に取り上げられ、札幌医大を中心に研究班ができ、ようやく保険診療の対象になる(この療法そのものに保険点数がつく)かもしれないというところまで、きました。
様々な体の不調に有用だという報告が蓄積されてきています。
耳鼻咽喉科的には、頑固な後鼻漏や咽喉頭の違和感や咽頭痛、頑固なめまい等が対象となりますが、他にも、全身倦怠感、風邪を引きやすい、不眠などなどです。
また、最近注目を浴びているのが、新型コロナウイル感染症の後遺症として起こる全身倦怠感やブレインフォグなどの特効的な治療として海外でも認められつつあります。
COVID19 後遺症(long COVID)と言われる病態では、上咽頭組織に新型コロナウイルスのかけらと思われるたんぱく質が免疫学的に検出されております。
また、コロナウイルス感染症に限らず、感冒後の不調が持続している場合には上咽頭のくすぶり続ける炎症が原因であることがあります。一度ご相談下さい。
亜鉛は、鉄に次いで多いミネラルです。
これもまた、多彩な働きを持っています。鉄と違い、同じ二価の金属ですが、物理的に安定した元素で鉄のように活性酸素を作ったりしません。
亜鉛の主な働きは以下の4つでしょうか。
① たんぱく質合成能を維持する
② 重金属系の毒物を排除する
③ 味覚嗅覚を維持する
④ 活性酸素を除去する
ほかにも、たくさんありますが、中でも近年特に注目されるのが、②の働きです。
私たちは、いろいろな食材を食べるうちに、本来、毒性のある重金属も微量ですが、摂取してしまっています。例えば、水銀、鉛、カドミウム、ヒ素、アルミニウムなどです。これらが蓄積しないように、亜鉛がその周りを取り囲んで(キレート効果といいます)、これらの毒物を排泄してくれるのです。ですから、亜鉛が低いと、これらが骨や脳に蓄積しやすくなり、認知症(特にアルツハイマー病)になりやすいことが報告されています。
新型コロナウイルス感染症の初期症状で、味覚異常というのが現れやすいのですが、このウイルスが、はじめに口腔内で増殖する際に、亜鉛を大量に消費するので、もともと亜鉛不足の人は味覚異常で発病する方がいたわけです。
亜鉛は、動物性食材にたくさん含まれています。豚肉や牛肉、貝類などです。鉄も同じでしたね。極端に少ない方では、補充が必要になることもあります。
鉄の働きは、とても多岐にわたります。鉄のことだけで、分厚い本が何冊も書かれています。それだけ鉄は奥深いものです。人類はもちろん、生命体にとって、必要不可欠のミネラルです。ざっと列挙しても以下のように多種多様の働きを持っています。
ヘモグロビンの構成成分
含鉄酵素の構成成分・活性中心
骨・皮膚・粘膜の代謝
コラーゲンの生合成
白血球・免疫に及ぼす影響
知能・情動に及ぼす影響
消化管に及ぼす影響
ミオグロビンの構成成分
このようなことから鉄分が不足しますと多くの不定愁訴が現れることも知られていますね。
例えば、動悸、めまい、肩こり、頭痛などです。
また、コラーゲン生成が低下するので、皮膚に異常が起こりやすくなります。
例えば、あざやシミができやすいとか、爪が変形するとか、抜け毛が増えるとか。
また、精神的にも影響しますので、注意力の低下とか、イライラとか、食欲低下や抑うつ感、不眠といった症状を起こすこともあります。
症状が女性に起こりやすい傾向がありますが、やはり、女性では生理的に鉄分が失われやすい傾向があるからだと考えられます。
一方で、血液中の鉄はほとんどがたんぱく質と結合した状態で存在しますが、たんぱく質と結合していないフリーの鉄は、活性酸素を作り出すことも知られています。
鉄の動態を詳しく知ることで治療につながります。
人の体内で重要な役割を担っているミネラルの中で最も重要なものが鉄と亜鉛といえます。それはほかのミネラルに比べ、とても量が多いことからもわかります。鉄は、およそ4g、亜鉛は2番目に多くて、およそ2gです。
まずは、鉄ですね。
約4億5千万年前、地球ができたのち、最初にあらわれた金属が鉄でした。もともと鉄は2価でしたが地球の環境が火山活動によってどんどん酸化されていくうちに植物中の鉄はほとんど酸化されて3価に変化しました。しかし、もともと水中で発生した生命体は、2価鉄を利用する代謝系を構築していたのです。
病原微生物を含め生命体は鉄を必要とします。鉄がなければ生命を維持できません。
ヒトの体も例外ではありませんね。体の中には人の細胞数(約60兆個)を大きく上回る微生物が生息しており、お互いに生き延びるために鉄を奪い合っているのです。
特に病原微生物は大量に鉄を欲しがります。それほど大事な鉄ですから、ケガや整理による出血、大量の発汗などを除くと、鉄はほぼ閉鎖回路の中で動いています。
つまり鉄を上手に循環して使いまわしているのです。
ですから鉄分が少ないのはどういう人かといえば、定期的に鉄が失われる人たちですね。成長期の子供、生理のある女性、痔で出血を繰り返す人、反復性の鼻出血患者、激しい運動をする人などです。またほとんど赤いお肉を食べないベジタリアンなどもその可能性があります。
ビタミンCの効用は、とても多彩です。中でも大事な働きは、
① 抗酸化作用 ② コラーゲン生成作用 ③ 免疫力向上 ④ 鉄の吸収促進
の四つでしょうか。
① 抗酸化作用
人間の体に障害を及ぼす諸悪の根源のひとつは、活性酸素です。主な活性酸素種は4つですが、ビタミンCはこの中でも最も強力なヒドロキシラジカルを無害化します。
② コラーゲン生成
血管、骨や筋肉、皮膚などすべてコラーゲンが基本骨格です。コラーゲンの原料は、たんぱく質、鉄、ビタミンCです。ビタミンCが足りなければ、血管も筋肉も骨も皮膚ももろくなるのです。成長期には大量に必要ですし、高齢者では脳出血や鼻出血、皮下出血の原因になりえます。
③ 免疫力向上
白血球の働きを助け、免疫力を高めます。
④ 鉄分の吸収促進
鉄は、遷移金属でかなり不安定なミネラルです。地球上の鉄分は、動物の体内にあるもの以外は、ほぼすべて3価(Fe3+)です。このままでは、人は吸収しにくいので、2価(Fe2+)に還元する必要があります。ビタミンCの還元力が有効なのです。
このようにたくさんの働きを持つビタミンCですが、先にも書きましたように、人間とサルとモルモットは、このビタミンを体内で作ることができません。
1日に必要な量は、厚労省のデータでは、100mgです。しかしこれは、壊血病を引き起こさないために最低限必要な量です。 成長期のこどもたち、妊婦さんや出産後の女性、風邪をひきやすい方、がん予防を期待する方、高齢者などでは、かなり大量の摂取が必要です(できれば2000mgから4000mg)。ビタミンCは、もともと水溶性ですから、余分は、尿に排出されますので、蓄積性を心配する必要はありません。
次回は、重要ないくつかのミネラルについて考えてみましょう。
夏に失われやすい2番目のビタミンは、ビタミンCです。
ビタミン(補酵素)は、外界から取り入れなければ生きていけない栄養素ですが、先述のB1同様、ビタミンCも体内で合成できないので、必ず外から取り込まなければなりません。
ビタミンCは、一般名をアスコルビン酸といいます。英語でascorbic acid です。
‘a’と言う接頭語は、「何々が無い」あるいは「何々に対抗する」と言う意味ですね。
つまり‘scorbutic’(壊血病)に対抗する酸(acid)と言う意味です。
16-18世紀の大航海時代、航海中に壊血病で、鼻血はもちろん目や、口腔内など体中の粘膜から出血して亡くなる乗組員が続出していました。
我が国の乗組員が脚気で大量死したのとよく似ていますね。当然原因不明の奇病と考えられていました。
1600年代英国の東インド会社の医務長官だったジョン・ウッドワールが、はっきりした裏付けはありませんでしたが、民間療法的に、壊血病の予防にライムやレモン、オレンジなどの柑橘系を推奨しました。それ以後、英国海軍ではラム酒と一緒にライムを積み込んで、壊血病予防に効果を上げました。
その後、1920年にジャック・ドラモンドがオレンジ果汁から抗壊血病因子を抽出して、ビタミンCと名付けました。
1928年にはハンガリーのアルベルト・セントジョルジュが、牛の副腎から単離した物質が後にビタミンCと同一だったとわかり、1933年ビタミンCの構造を決定したノーマン・ハワースの二人が後にノーベル生理学医学賞、化学賞を受賞しています。セント・ジョルジュは、ビタミンCの父と呼ばれています。
霊長類(人とサル)とモルモットは、ビタミンCを体内で作ることができません。従って、経口的に摂取しなければなりません。不足すると、壊血病、貧血、免疫低下、疲労感、倦怠感、歯茎からの出血、骨の形成不全、感染症にかかりやすいなどの症状が現れてきます。
時代はもっとさかのぼります。
江戸時代、「江戸わずらい」という病気が蔓延していました。江戸の市民が、白米のおいしさに目覚め、麦や玄米を食べる習慣をなくしたころからこの病は広がったようです。
もちろん「脚気」のことですが、当時はビタミンの知識などありませんから、足がむくんで、心臓が弱るその病気は奇病と考えられていたようです。
この病気で若くして亡くなったとされる人に、13代将軍家茂がいます。映画やテレビドラマで、よく出てくる大奥の作品で有名です。家茂はスイーツが大好きで、もちろんの将軍様ですから麦飯などは召し上がりません。お魚も嫌いで動物性のものはあまり召し上がらなったようですね。21歳の夭逝でした。
田舎から奉公で江戸に出された農家の次男三男たちや女児たちが、この奇病にかかって、奉公先から田舎へ戻されるということがままあったようです。田舎へ帰ると稗や粟など雑穀を食べますので、またすぐに元気になります。また奉公へ出されます。なんといっても江戸では、おいしい「白いおまんま」が食べられるのです。そしてまた脚気になります。
ビタミンB1の効能がわかっていたはずの1975年に日本のあちこちで、足のむくみを伴う心臓病の報告が相次ぎました。奇病と言われたものの、実はこれも脚気だったのです。 原因は、白米主食、インスタント食品や加工食品の増加、菓子類や清涼飲料水などによる投資の過剰摂取、激しい運動、低タンパク質食などがあげられました。
ビタミンB1は、現在はチアミンと呼ばれ、糖質をエネルギーに変える際に大量に消費されます。これが消費されすぎると、脳内で炎症起こす物質が増え、また末梢神経も伝達速度が落ちるようです。局単位慢性的に不足しますと全身のむくみ、心不全、しびれや麻痺などが起こります。これが脚気です。
チアミンは、コーヒーや緑茶などを大量に飲む人でも分解されて欠乏しやすくなります。
これらの飲料に含まれるチアミナーゼ(チアミン分解酵素)のせいです。人はおいしいもの(甘いものや植物性油や乳製品、いわゆる粉もの(小麦粉製品)など)を食べたがる、これはいつの時代も変わることのない習性です。
栄養の大事さは、いまさら言うまでもないことですが、歴史上、考え方がこれほど大きく変遷している領域もないかもしれません。例えば、ビタミンB1です。そもそもビタミンという用語は、vital amine (活性化アミン)からの造語で、そもそもアミンではないので、最後の’e’を取り除いて短くまとめて1911年にポーランドのフンク博士がVitaminと命名されたものです。
動物の体内で起こる化学反応は、37度程度で火を燃やさなければ(エネルギーを作り出す)ならないという命題があります。そのために酵素という触媒が必要ですが、この酵素がきちんと働くために手伝ってくれる補酵素が必要なのです。この補酵素をビタミンと呼ぶことにしました。特に夏に失われやすいビタミンの筆頭がB1とCです。
最初に発見されたビタミンは、B1です。発見者は、言わずと知れた鈴木梅太郎博士で、フンク博士より一年早い1910年のことでした。鈴木博士は、当時日本で多かった「脚気」を予防する成分としてこの物質を「米ぬか」から発見し、「オリザニン」と命名しました。
話はもう少しさかのぼります。
日露戦争(1904.2-1905.9)の最中、森鴎外が軍医を務める陸軍と薩摩藩(現在の宮崎市高岡町)出身の高木兼寛が軍医だった海軍での脚気死亡者の相違です。当時、軍隊では、陸軍海軍ともに戦死者よりも脚気による兵士の死亡者が甚大でした。
高木は、ヨーロッパに留学中、脚気がいないことから、この原因が食事にあると考えて、白米を食べさせないで、麦飯や動物性たんぱく質を主食とする実験航海をおこない、航海中に一人の脚気も出さずに実証しました。以後、海軍では白米をやめ、雑穀を中心にして脚気を撲滅しました。海軍カレーの生みの親でもあるとされます。
一方、森鴎外は、脚気は伝染病だという主張を曲げず、日露戦争で、膨大な死者を積み上げてしまいました。記録上は、陸軍における脚気死亡者は、約2万8千人(発病25万人)とされており、これは、戦死者総数約4万7千人の半分以上に及びます。海軍では脚気死亡者ゼロでした。
ビタミンB1が鈴木博士によって発見されたときには、二人の軍医はすでに故人でした。
広島の80年目の原爆記念日です。
全国的には熱中症が急増中です。昨日は、40度を超えた地区がなんと14か所もありました。慰霊祭に参加された方々の多くはご高齢で、私としては、ほんとに熱中症が心配になりました。
また、昨日からいよいよ夏の甲子園が始まりました。球児たちの熱中症対策も色々工夫されているようですね。開会式が午後4時からで、開幕試合はその後に行われました。今日からは、午前午後の二部制にして、従来の延長戦のタイブレーク方式や給水タイムの設定、時間が過ぎたら継続試合として、その次の時間枠に持ち越して途中からやる・・・等です。 DH制もいずれ設けるらしいですね。
熱中症の予防は、①体を作ること、②水分を充分に補充すること、③ミネラルを必要充分補充することの3つです。
この3つを達成するには、朝ご飯をきちんと食べることです。
体の中で水分を蓄えてタンクの役割を担うのは、筋肉です。高校球児が比較的平気なのは、日頃のトレーニングと食事によって筋肉量を保っているからです。
筋肉が落ちないようにしなければなりませんが、単純にタンパク質を摂れば良いというものではありません。肉や魚や卵、大豆製品を食べることで、中に含まれているたんぱく質はもちろん、鉄や亜鉛、カルシウム、マグネシウム、銅などのミネラル、ビタミンB群(B1.2.6.12など)、ビタミン ADEK等の脂溶性(油に溶けるビタミン群)などが同時に摂れるわけです。さらに野菜や海苔などで、ビタミンCも摂る必要があります。
また、炭水化物も同時に摂らなければ、カリロー不足を起こすので、自分の筋肉を溶かしてエネルギーを発生させようとしてしまいます。この現象を「糖新生」と言います。
このように炭水化物には、たんぱく質を守る効果(protein sparing effect )があります。最近、痩せた方で、食べても太れない症例を多く見るようになりました。安易に糖質制限をしたり、食事をしっかり摂らないでプロテイン製剤のみに頼ると言うのは避けたいものですね。
全国的に猛暑が続いていますね。夏特有の感染症や、熱中症、水の事故など増えてきています。子どもたちの間でこの時期に増えるのが、アデノウイルスやコクサキーウイルスによる感染症です。類似の3種類として重要なのが、咽頭結膜熱(アデノウイルス)、ヘルパンギーナ(コクサッキーウイルスA群2/4/6/8/10型、B群、エコーウイルス)、手足口病(コクサッキーウイルス16型、エンテロウイルス71型)です。
前2つは40℃ぐらいまで発熱することがあり、4-5日持続することもあります。手足口病では熱は38℃台が多いですね。
アデノウイルスは、別名プール熱(プールを介して感染するという点から)とも言われ、特徴は目の結膜や口腔内粘膜が赤くなる点です。
ヘルパンギーナは、口腔内に周りが赤い直径2-4mmの小水疱や浅い潰瘍を認め、よだれがだらだら出る現象(流涎)がよく見られます。
手足口病は、頬粘膜、舌の先端、手のひらや足の裏に米粒大の小水疱を認めます。
いずれもウイルス性の病気ですので、特効薬はありません。対症療法が基本です。
鑑別しないといけないのは、抗生剤が有効な溶連菌感染症もありますが、頚部リンパ節が腫れる川崎病、全身の発疹性病気では、ウイルス性の突発性発疹や風疹などです。
さらに高熱を伴うので、熱中症や新型コロナウイルス感染症、インフルエンザなども視野に入れないといけないですね。
重症かどうかは、元気や食欲があるかどうかです。熱が高くても元気があればあまり問題ありません。ご心配なら受診を。
東洋医学的には、「医食同源」という言葉があります。
現代のような石油化学製品で合成された薬物がなかった時代には、自然界にあるものを薬としていました。植物か動物の一部や鉱物の一部などです。また、人間が本来持ち合わせている自然治癒能力を引き出す療法として、鍼灸や体操などがあります。
中でも食事を正すことで病態を改善しようという考えが「医食同源」と言う概念です。
英語にも“You are what you eat.”「あなたは食べたもので出来ている」という言葉があります。
体質は、虚弱なのか体力があるのか、冷え性なのか暑がりなのかなど、それぞれ違いがありますが、同じような物を食べてもその体質の違いよって、起こる病気が違ってきます。
ですから、一概に、これは食べてはいけませんとか、これを食べなさいとか言うことは出来ません。西洋医学的にはいろいろ検査して、病気を探ります。器質的な病気があれば例えば外科手術などが有効です。その検査結果を基に、起こりやすい病気を見極め、食事を改善して病気になりにくいようにしたり、根本的に病気を治していくのが、栄養療法の目的です。
院長の漢方歴は、30年以上ですが、栄養療法は2014年から取り組んでようやく10年を超えました。いろいろな症例を診てきて痛感するのは、「食」を見直したり、「食習慣」を変えることの難しさですね。
新型コロナウイルス感染症が、暑くなって、またあちこちで小規模の流行があるようです。
夏休みということで、移動も多く流行に影響しているかもしれません。
このウイルスのやっかいな点は、鎮静化してからも上咽頭(鼻の一番奥の壁)に、ウイルスのかけらが残存して、様々な体調不良を引き起こすことがあるということです。
コロナウイルスだけではなく他のいくつかのウイルスにも、その傾向があるようです。
もともと上咽頭はリンパ組織の集合体です。
生まれる前に、お母さんの子宮の中でリンパ球を教育する機関として発生します。
ほかに、虫垂の近傍にあるパイエル板という同じような組織と共に出産後の免疫を確立するために働き始めます。また、20歳ぐらいで退縮してしまう胸腺もその仲間です。
産まれたあと しばらくは、おかあさんからもらった初乳などに含まれる抗体で、感染を阻止していますが、半年を過ぎるころから、次々に襲いかかっている吸入(鼻から入る)病原体や異物を上咽頭が、口から入る病原体や異物をパイエル板が教育したリンパ球を配備して、2度目3度目の攻撃に対抗できるようにしてくれます。ところが、慢性持続感染が起こると上咽頭の反応も強くなりすぎて、あちこちの臓器に炎症性変化を起こすようになります。
これが慢性上咽頭炎という病態を起こすわけです。
コロナ後の違和感が持続している方では上咽頭治療(Bスポット治療)が有効な方がいらっしゃいます。
8月になりました。全国的に猛暑が続いております。
暑さがひどくなると東洋医学的には「暑邪」と言われる「外邪」に侵されます。西洋医学的な考えから言えば、高気圧による影響で、白血球の仲間のうち好中球が優位になり、リンパ球が相対的に減ります。好中球は、元々は細菌を倒すために頑張ってくれています。ですから化膿性の病気の時には活躍しているわけですね。ところが、あまりにも高気圧の張り出しが強いと細菌感染がないにも関わらず、その暑邪ストレスに対しても好中球が反応して無菌性化膿性炎症を起こしてしまいます。
よくあるのは、今日は天気が良いなあ。ゴルフ日和だと言って、そそくさ準備をしていると急に右下腹が痛み出して急性虫垂炎だったなんて言う話が起こります。
耳鼻咽喉科の領域では、急性化膿性扁桃炎や扁桃周囲膿瘍と言ったリンパ組織に化膿性炎症を起こしてしまうことがよくあります。
好中球とリンパ球の比率が1:1でいると自律神経のバランスが落ち着き心安らかに過ごせます。ストレスが多いと、この比率が3:1とか4:1になってきます。
そうなると一触即発です。
本日で7月も終わりでした。日本全国各地で40度を超える猛暑が観測されています。
太平洋高気圧とチベット高気圧が、それぞれ南東からと北西から張り出し、その二つが重なる地点で、湿っていないフェーン現象(ドライフェーンというそうです)が山を越えてきて、盆地地帯にかつてなかった高気温と乾燥をもたらしたということです。大都会に起こるヒートアイランドではない形での異常高温が起こっています。
このようなときには、どうしても乾燥した空気を吸い込むために、本来湿っていなければならない咽頭粘膜、特に鼻の一番奥の上咽頭と呼ばれるところが想定以上に乾燥して、炎症がおこってしまいます。これが慢性化すると慢性上咽頭炎になります。
原因菌の3番目は、モラキセラ菌です。この菌の問題点は、β-ラクタマーゼという酵素を出す点です。β-ラクタマーゼは、ペニシリンやセフェム系の抗生剤を無力化する酵素です。ですから、先述の肺炎球菌やインフルエンザ菌と一緒にこの菌が検出されますと共同戦線を張って抗生剤の効果を弱めてしまうことがあります。治りが悪い場合にはこの菌の影響があるかもしれません。
4番目の重要な原因菌は、溶連菌(溶血性連鎖球菌)です。この菌は咽頭炎や扁桃炎を起こすことで有名ですが、抗生物質が開発される以前には、猩紅熱といって命に関わる重症な病気を起こす菌として知られていました。現在では、菌が検出されれば、抗生剤をきちんと決められた日数飲むことで治ります。但し、心臓や腎臓、関節に後遺症を残すことがありますので、その後のフォローも大事です。
溶連菌が中耳炎を起こした場合には、なかなかやっかいです。他の菌に比べても耳痛が強く、難聴の後遺症が長引くことが多いです。菌の確実な同定と適切な抗生剤や抗菌薬の選択が必須です。
また、時々ニュースで取り上げられますが、とても重篤な溶連菌感染症があります。これは通常だと口腔や咽頭から感染するはずの溶連菌が、いきなり手足や他の皮膚から侵入して感染した場合に起こることがあるいわゆる「人食いバクテリア」感染です。発症してから48時間で、手足を切断しなければなるほどあっという間に重症化する大変怖い病気です。
3大起炎菌の2番目は、インフルエンザ菌です。インフルエンザと言えば、冬に流行する感冒のウイルスが有名ですが、この菌は流行性感冒とは無関係です。その昔、電子顕微鏡がまだ無かった頃、流行性感冒の患者の鼻汁を光学顕微鏡で検査していた研究者がこの菌を間違えて、インフルエンザの原因だと認定してしまい、インフルエンザ菌と命名したというなかなか因果な菌ですね。
この菌は、約70種類ぐらい知られています。細胞膜の形状から、aからfまで分類される群とそれ以外の群がありまして、総計で70種類ぐらいあります。中でも、名前のついているうちでb型菌(Haemophilus influenzae type b 通称Hib 菌)と呼ばれる菌が、重篤な髄膜炎や喉頭蓋炎などを起こすため、これだけがワクチンがあります(ヒブワクチンとよばれています)。 このワクチンの普及で、重症喉頭蓋炎や髄膜炎で亡くなる方が激減した経緯があります。
Hib以外のインフルエンザ菌では、急性中耳炎がよく起こります。
最近、抗生剤の効きにくいインフルエンザ菌が増加傾向です。よく使われるセフェム系の抗生剤や一部のキノロン系抗菌剤が効きにくくなっているいわゆる耐性菌が増加しており、注意が必要です。
こどもの急性感染症の8-9割は、ウイルス感染症です。
呼吸器感染症のウイルスでは、最近よく耳にするヒト・メタニューモウイルスやRSウイルス、もちろんこの数年猛威を振るった新型コロナウイルス(SARS-CoV2)など様々です。
一方このようなウイルス感染症に続いて起こることが多い細菌感染症の主な菌は、
肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ菌です。先行するウイルス感染が無くていきなり感染するものの代表的な菌は溶連菌(溶血性連鎖球菌)です。これら4つを子ども上気道感染症の4大起炎菌と言います。
中でも毒力が最も強いのが肺炎球菌です。肺炎球菌は同じ仲間がおよそ90種類ぐらい知られており、なかでも毒力が強くて肺炎や子どもの中耳炎を起こしやすい13種類に対するワクチンがPCV13といって、現在子どもたちが公費負担で接種している菌群です。
65才以上でも公費一部負担で接種を推奨していますが、こちらは、おもに23種類に対応するワクチン(ニューモバックスNP®)です。
子どもたちの急性中耳炎は、2才になると激減しますが、3才以上の年長児が初めて急性中耳炎を起こした場合には、肺炎球菌の中でもムコイド型という難治性の肺炎球菌が原因のことがあります。
それぞれ特徴があり、また有効な抗生剤も少しずつ違います。1才未満児の急性中耳炎は、初期治療に失敗しますと、繰り返す事があります。半年に4回以上の急性中耳炎を起こすようならいわゆる反復性中耳炎と言うことになります。ワクチン(肺炎球菌ワクチンとヒブワクチン)の普及のおかげで重症の急性中耳炎は減少して、鼓膜切開を行うようなケースはずいぶん少なくなりました。それでも今年は、急性中耳炎が多いようですね。
原因菌をきちんと調べて、適切な抗菌剤、抗生剤を用いて後遺症を残さないようにしたいですね。
夏の暑さが厳しいときには、冬と同じように急性中耳炎も起こりやすいのですね。
このところ、低年齢児の急性中耳炎をよく見かけるようになりました。子供が耳を痛がるとき、夏に多いのは外耳炎・外耳道炎です。水遊びの機会が増えて、耳の掃除をしがちだからです。耳かきや耳の掃除をしなければ通常は起こりにくい病気です。原因となる細菌は主にブドウ球菌です。
一方、冬に多いのが急性中耳炎です。風邪を引いて、経過中に細菌感染性鼻炎や副鼻腔炎になり、それらの病気を起こす細菌が鼻の奥の耳管経由で感染を起こしてしまいます。
あまりにも夏が暑いとエアコンや扇風機などの冷房器具によって条件が冬のようになってしまい、風邪引きやすくなりますので風邪から中耳炎というパターンですね。
急性中耳炎を起こす細菌は、主に3つです。1番目は肺炎球菌です。2番目はインフルエンザ菌(といっても風邪のインフルエンザウイルスではありません)3番目は、モラキセラ菌です。
それぞれ特徴があり、また有効な抗生剤も少しずつ違います。1才未満児の急性中耳炎は、初期治療に失敗しますと、繰り返す事があります。半年に4回以上の急性中耳炎を起こすようならいわゆる反復性中耳炎と言うことになります。ワクチン(肺炎球菌ワクチンとヒブワクチン)の普及のおかげで重症の急性中耳炎は減少して、鼓膜切開を行うようなケースはずいぶん少なくなりました。それでも今年は、急性中耳炎が多いようですね。
原因菌をきちんと調べて、適切な抗菌剤、抗生剤を用いて後遺症を残さないようにしたいですね。
こどもたちにとって楽しい夏休みが始まりましたね。
しかし、このところの猛暑はとてもすさまじく、日中に外に出るのがはばかられるほどです。ニュースでは、毎日のように熱中症により搬送される方が報道されています。
熱中症対策は、予防と治療と分けて考える必要があります。
体温が上がりすぎて調節できなくなったのが熱中症です。汗をかいて、その汗が気化、放熱される状態にしておくことが肝要です。つまり風通しの良いところで、あまり高温状態が持続しない作業にすることです。たくさん汗をかきすぎると、ナトリウムやカリウムが汗に出て行きますので、水分と同時にミネラルの補充が大切です。
気をつけたいのは、糖質の多いタイプのスポーツドリンクは、血糖が急激に上昇してしまう可能性があると言うことですね。ですから、その名のとおりにスポーツをするときには問題は少ないですが、激しく筋肉を動かさないときには向いていません。
通常一定以上血糖が上がるとインシュリンというホルモンが分泌されます。インシュリンは分泌されると、血糖を下げる効果がありますが、本来は、血液中のブドウ糖を細胞の中に取り込むのが仕事です。このときに同時に血液中のカリウムも細胞内へ取り込まれてしまいます。低カリウムが増大して痙攣が起こりやすくなることもあります。
急激な血糖上昇が繰り返されますとインシュリンがむだづかいされてついには分泌機能が落ちていきます。インシュリン分泌量には上限がありますので、膵臓のベータ細胞が疲弊してしまうと血糖を下げられない状態になってしまいます。この状態が糖尿病です。
子供たちの間で疑似糖尿病と言われるペットボトル症候群が増えてきています。
通常の水分補充は麦茶が一番です。麦茶には本来、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リンなどのミネラルが豊富ですし、カフェインが入っていませんので、余計な血圧の上昇起こしません。また、ポリフェノールが含まれており、紫外線で発生した活性酸素を減らす効果があります。 ちなみに運動をしているときには筋肉がブドウ糖を消費してくれます。筋肉はブドウ糖を利用するのにインシュリンを必要としないので、インシュリンの無駄遣いは起こりません。
急激な血糖上昇は、血液が酸性に傾くアシドーシスという現象を引き起こし、痙攣を起こしやすくします。つまり、熱中症を起こしやすくする可能性があるのです。
朝ご飯をきちんと食べること(おこめのご飯とわかめの味噌汁が基本です。塩分やそのほかのミネラル補充もできます)が熱中症の予防に役立ちます。ここでも血糖が急激に変化しやすい食品だけ(例えばくだものだけとか)摂っていると危険性が増しますのでご注意下さい。
熱中症の初期症状で、耳づまり感が起こることがあります。こまめに水分や塩分補給をしていてもこのような症状が出たら、すぐに屋内や風邪とおしの良い日陰に移動して、冷たいタオルで首の周りや頭を冷やして下さい。水分は糖分のないもので冷たくないものを少しずつ摂って下さい。激しい発汗、吐き気や気分不良が出る場合には、迷わず救急車を要請しましょう。
耳鳴りの起こるメカニズムについては、大きく分けると二つです。一つ目は、加齢性難聴やそのほかの原因で起こった神経性難聴にともなうものです。もう一つは、それ以外です。
それ以外のものが、危険な耳鳴りである場合があります。
例えば、脈を打つような拍動性の耳鳴りだと脳動脈瘤や脳動静脈奇形などを考慮する必要があります。血圧が普段高い人ではなおさら注意が必要です。
一方で、加齢やそれ以外の難聴に伴う高調音持続性(ジーとかキーンのような)耳鳴りでは危険性は低くなります。これらは慢性化しやすく、治りにくいタイプです。
このタイプに関しては、慶応大学医学部耳鼻咽喉科のグループが補聴器をうまく利用した治療法を提案しており、「耳鳴りの9割は治る」(新田誠一・小川郁 著マキノ出版)という本も出しておられます。
当院でも同じような方法を実施しておりますが、それ以外では、その人の証に沿って漢方薬を用いて対応しております。
社団法人「食の未来~鹿児島~」関連企画のご紹介
アレルギーの話の時にもご紹介しましたが、アメリカのトランプ政権の保健長官ロバート・ケネディ・ジュニアが、合成着色料や甘味料などを、いずれ撤廃する取り組みを始めました。つい先日には、コカ・コーラ本社へ、合成甘味料を使わずに、本物のキビ糖を使うように申し入れをしましたね。
さて、表記の社団法人は一昨年立ち上げたものですが、院長も理事の端くれを拝命しておいちき串木野市のいちき串木野市の無農薬農法の田んぼで田植えのイベントを行いました。
さて、直近ですが、7/24(木)にメンバーのスーパーハルタ(鹿児島市)で以下のような企画を行います。是非ふるってご参加下さいませ。
【7/24(木)開催】自然の味 勉強会のお知らせ
今回のテーマは「だし」。化学調味料、酵母エキス、たんぱく加水分解物・・・など
今の“だし”は、本当に自然の味でしょうか?
市販のだしの多くは、塩や砂糖、調味料(アミノ酸等)などの“添加物のかたまり”。
それらは「うま味」だけでなく、健康へのリスクも…
・発達障害、アレルギー、糖尿病
・高血圧、味覚障害、神経障害 など
14人に1人が発達障害と言われる今の日本。
その一因は“ミネラル不足”とも。
本物の「天然だし」は、身体に必要なミネラルをしっかり含んでいます。
今回は「こだわりの味協同組合」理事長・冨永昌良さんをお迎えして、
安心・安全な食の知識を深める2時間です。
日程:7/24(木) 9:45〜11:45
会場:国際交流センター(加治屋まちの杜公園)
定員:50名(お子様連れ歓迎)
申込:スーパーハルタ(099-226-6180)
またはDMにて「参加希望・お名前・電話番号」をお送りください。
家族の健康を守りたい方、本物の「だし」に興味がある方、大歓迎!
https://www.instagram.com/p/DL57D86SALn/?igsh=M2lwOGxxZnN0cXVi
さて、次は耳鳴りです。
耳鳴りの起こるメカニズムもいくつも説明されていますが、今のところ西洋医学的にも伝統医学的にも充分な解明がされたとは言えないのが本当のところでしょうか?
歴史上の多くの漢方大家もその著書のなかで、耳鳴を直すことは難しいと書いておられるぐらいです。
彼のベートーベンも難聴と耳鳴りに悩まされていたと言われますし、耳鳴りで苦しみ、行動療法で治した劇作家(倉田百三)もいました。また、「私、象を見ると耳鳴りがするの」という一説で始まる恩田陸の短編小説もあります。
今や、テレビで耳鳴りに効く薬やサプリのコマーシャルが流れない日はありませんし、健康雑誌には毎号のように取り上げられる状況です。
それほど悩んでおられる方が多いということなのでしょう。
かくいう私も左の耳鳴が数年前からあります。あまりの忙しさに、倒れそうになっていた頃、ある日突然発症して、以来持続しています。
ジーという連続音で、周りが静かになると気になりますが、忙しかったり,睡眠不足が重なると悪化します。精神的なストレスでも悪化するようです。
立場上、耳鳴の起こり方や症状によるつらさが身をもって分かるので、一概に悪くはないと思っていますし、命に関わる物でもないことも分かっています。です。から薬物による治療は行っていません。いずれにしても自家診療は保険診療では認められませんので、自分に薬を処方できないのですが・・・。
しかしながら患者さんの立場になってみるとやはり不安を感じられるでしょうし、その不安は取り除いて差し上げたいと思います。次回は具体的な治療について独りごちたいと思います。
これらの病気も増加の一途です。
まずは「めまい」について考えてみましょう。ひとくちに、めまいと言いましても、その原因はたくさんあります。まず大きく二つに分けると、グルグル回転するように感じるめまいとフラフラや立ちくらみのようなめまい感です。実際には体が回っているわけではありませんが、前者を回転性めまい、後者を非回転性めまいといいます。
一般的には、回転性めまいは主に内耳機能(耳の奥の三半規管や前庭器官の異常で起こります。末梢性めまいとも呼ばれており、生命の危険性を伴わないことが大事なポイントです。
また、一方のふらつきや立ちくらみなどのようなめまいは大脳や小脳、延髄。脊髄などの中枢神経が原因のことがあります。従いまして、非回転性めまいのほうが生命の危険性をはらんでいることがあります。
院長はこれまでにもいくつかの国内外の学会で、めまいに関する治療についての報告もしております。大事なことは、生命に危険を及ぼすめまいなのか?そうでないのかをまずは見極めることとです。
末梢性めまいの治療の基本は、理学療法と食事療法と薬物療法です。当院では、薬物療法では、西洋薬に加えて、その人の体質に合わせた漢方薬をもちいた治療を行います。
花粉やハウスダストなどのような鼻から入ってアレルギーを起こす吸入抗原や、卵や牛乳などのように食べ物として口から入ってアレルギーを起こす食餌抗原、どちらもぜんそく発作やアナフイラキシーなどのショックを起こすことがあります。
そもそも、こういった何でも無い物質にどうして過敏に反応しなければならないのでしょうか?そこが解明できれば予防につながるはずですよね。
今のところ、詳しいことはわかっていないというのが現代医学の見解です。
発病したものをどのように治療するかが診療の中心になっていますよね。
世界各地に存在する伝統医学、とくに東洋医学では、その人の体質(証)で説明します。
例えば基礎体温が高いとか低いとか、冷えがあるとかないとか、体力があるとかないとか、胃腸が強いとか弱いとか、これらを見てどのような病気を起こしやすいかを判断します。
最近どんどん増えているアレルギー疾患。アレルギー性鼻炎や花粉症、気管支ぜんそくなどの呼吸器疾患、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患。このような症例を集めるとなんと全国民の約6割に及ぶことがわかってきました、また、唾液腺の病気であるシェーグレン症候群や甲状腺腺機能低下症、関節リウマチなどの自己免疫疾患なども右肩上がりに増加しています、
どうしてこんなに増えてきているのでしょうか?
第二次トランプ政権の保健長官【我が国で言えば厚労大臣)に就任したロバート・ケネディ・ジュニア氏は、アメリカ国民の8割以上が何かしらの慢性病にかかっていると報告し、その原因の大きな部分を合成着色料などの食品添加物が占めているとしました。それを踏まえて5年程度を目安にこれらの食品添加物を削減撤廃する方針を打ち出しました。製造している会社への協力要請をすでに開始しております。
我が国も世界で最も多くの食品添加物(およそ1500種類、ちなみにアメリカは133種類、イギリスは21種類)が使われていますね。是非追随してほしいものです。
暑い毎日が続いております。皆様いかがお過ごしですか?院長です。
これだけ暑いと、暑さによる体力の消耗で、いつもはお元気な青壮年の方が発病しがちなのが、急性扁桃炎や扁桃周囲炎、さらには重大な急性喉頭蓋炎などの咽頭や喉頭の疾患です。 体力があると思っている方が、ついつい無理をして起こすことがままあります。つばのみや、食事の時に飲み込むのがつらいほど痛む場合には、上記の病気を考えましょう。片方が特に痛む場合には、要注意です。緊急の手術や入院が必要になることもあります。
残念なことに薩摩川内市には耳鼻咽喉科のある入院施設がありません。
二次紹介が必要な場合には、早めの対応が必要です。
「朝から痛いけど、仕事があるから我慢して夕方にでも」と考えず、早い時刻に受診または、お電話でのご連絡をお願いいたします。
また片方だけの場合には、帯状疱疹も考えておかなければなりません。この病気も最近増加傾向です。
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